融資・資金調達

融資の借り換えとは|銀行が応じる条件・リスケとの違いを元銀行員が解説【2026年】

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池田計画合同会社

公開日:2026年9月30日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「借入が5本あって、毎月の返済で現金がじりじり減っていく」。決算は黒字なのに手元が薄い、という状態は珍しくありません。そういうとき、返済を止める前に検討できる手があります。借り換えです。

結論から言えば、融資の借り換えとは、いま返済中の借入を新しい融資で完済し、返済期間や金利を組み直す手続きです。返済を一時的に止めるリスケと違い、正常な新規融資として扱われます。

私は元銀行員で、法人融資の審査に携わっていました。借り換えの案件が審査に上がってくる側にいたので、どういう案件が通り、どういう案件が返済原資の裏づけを欠くものとして扱われるかを内側から見てきました。いまは中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県内の資金調達のご相談を受けています。

この記事では、借り換えとリスケ・追加融資の線引き、返済がいくら軽くなり代わりに何が増えるのかの試算、そして日本政策金融公庫と信用保証協会の現行制度を、公表されている一次資料で整理します。制度の数値は2026年9月時点の公表内容です。取扱いは金融機関・協会ごとに異なりますので、最終的には窓口でご確認ください。

融資の借り換えとは、何を入れ替える手続きなのか?

借り換えでやっていることは、実はきわめて単純です。新しく融資を受け、そのお金で古い借入を完済する。手元に残るお金は増えませんが、返済の条件だけが新しくなります。

組み直せるのは、おおむね次の3つです。

  • 返済期間:残り3年の借入を10年に組み直せば、毎月の元金返済は3分の1近くになります。借り換えで最も効くのはここです
  • 本数:5本を1本にまとめると、返済日も引落口座も一つになります。資金繰り表が読みやすくなるという副産物があります
  • 金利・保証の形:高い金利を下げる、あるいは経営者保証付きの借入を保証なしの形に替える、という組み替えもあります

逆に、借り換えでできないことも押さえておいてください。借入の総額は減りません。3,000万円の残高を借り換えても、残高は3,000万円のままです。減るのは月々の返済額であって、債務そのものではありません。ここを取り違えると、借り換えたのに何も楽にならなかった、という話になります。

なお、「借り換え」には2つの型があります。同じ金融機関の中で古い借入を新しい借入に振り替える型と、別の金融機関から借りて既存の借入を返す型(いわゆる肩代わり)です。前者は取引関係が続くので話が早く、後者は既存の金融機関との関係に影響します。実務上は前者から検討するのが自然です。

借り換え・リスケ・追加融資は、何が違うのか?

この3つを混ぜて話す方が多いので、先に分けておきます。返済が重いときの選択肢は3つあり、金融機関側での扱いがそれぞれ違います。

 借り換えリスケ(返済条件変更)追加融資
やること新しい融資で古い借入を完済し、期間・金利を組み直すいまの契約のまま返済額を減らす・一時的に元金を止めるいまの借入を残したまま、新たに借り入れる
手元の現金増えない(月々の返済が減る)増えない(返済を止めた分が残る)増える
借入残高変わらない変わらない増える
月々の返済減る大きく減る・ゼロにもできる増える
金融機関での扱い正常な新規融資として審査される返済条件の緩和として扱われ、その後の新規融資が難しくなる正常な新規融資として審査される
向いている状態黒字だが返済が重い。まだ約定どおり返せている約定返済を続けると資金が尽きる設備投資や増加運転資金など、使い道が前向き

順番としては、借り換えはリスケの手前の選択肢です。約定どおり返せているうちなら借り換えという正常な形で組み直せますが、一度止めてしまうと選択肢が狭くなります。リスケ自体を避けるべきという話ではありません。リスケの中身と進め方は「リスケとは|銀行融資の返済条件変更のデメリットと進め方」に詳しく書きました。ただ、順番は借り換えが先だという実務感覚は持っておいてほしいところです。

追加融資との比較で、私が現場で何度も見てきたことを書きます。返済が重いときに追加で借りると、返済額がさらに増えて翌年もっと苦しくなる。いわゆる借りて返すスパイラルです。これに入りかけている会社は、追加借入ではなく返済負担そのものを組み直したほうが、結果的に早く抜けられます。追加融資の考え方は「日本政策金融公庫の追加融資とは」にまとめています。

借り換えで毎月の返済はどれだけ軽くなり、代わりに何が増えるのか?

ここを数字で見ておかないと判断できません。上位の解説記事はほぼ例外なく「シミュレーションしておきましょう」で終わっているので、実際に計算します。

試算の前提を先に明示します。保証協会付きの融資が5本、残高合計3,000万円、残りの返済期間は平均約3年で、元利込みの返済が毎月合計約86万円(3年・年2.0%・元利均等で計算した額)。これを1本にまとめ、期間10年・金利年2.0%・元利均等返済に組み直すとします。信用保証料率は山梨県信用保証協会が公表する9区分の中位にあたる区分⑤の1.15%(責任共有対象制度)を使います。

軽くなる側:毎月の元金返済

3,000万円を年2.0%・120回の元利均等で返すと、毎月の返済額は約27.6万円です。約86万円から約28万円になりますから、月約58万円、年間で約700万円のキャッシュが手元に残る計算になります。これが借り換えの効果です。

増える側:利息と信用保証料

期間を延ばすと、元本が減るのが遅くなります。したがって利息の総額は増えます。元利均等・年2.0%で計算すると、こうなります。

返済期間毎月の返済額(元利込み)利息の総額
3年(36回)約859,000円約93万円
10年(120回)約276,000円約312万円

利息だけで約219万円増えることになります。さらに信用保証料がかかります。山梨県信用保証協会が公表している算式は「貸付金額×保証料率×保証期間(日)÷365×分割係数」で、均等分割返済の分割係数は返済回数25回以上なら0.55です。これに当てはめると、3,000万円・料率1.15%・10年の保証料は約190万円。3年分なら約57万円ですから、こちらも約133万円増える計算です。

合わせると、10年で350万円前後を多く払うことになります。なお保証料の増加分約133万円は、新しく払う保証料(約190万円)から、既存の借入を3年で返し切った場合の保証料相当(約57万円)を差し引いた目安です。実際には、既存の保証付融資を期限前に完済すると未経過分の保証料が戻る場合があるため、負担は「新規の保証料約190万円から返戻額を差し引いた額」になります。返戻額は協会に確認してください。

では、この借り換えは得なのか

私はいつもこう整理してお話しします。年間約700万円の手元資金を作るために、10年かけて350万円前後のコストを払う取引です。その約700万円で収益力が上がるなら合理的です。人を採る、設備を入れる、営業に振り向ける。返済を止めて作った現金を収益力に変えられれば、借り換えは投資になります。

逆に、約700万円が毎年の赤字の穴埋めに消えていくなら、それは返済を先送りしただけです。10年後にもっと重い形で同じ問題が戻ってきます。ここは借り換えの成否を分ける分岐点なので、金額の試算と同時に「空いた資金を何に使うか」を決めてから申し込んでください。

なお、金利や手数料の水準は金融機関ごとに違います。自社の返済余力そのものを把握したい方は「運転資金の計算方法」と「資金繰り表の作り方」もあわせてご覧ください。

銀行はどんなときに借り換えに応じ、どんなときに断るのか?

ここが元銀行員として一番書きたかったところです。借り換えの審査で見られているのは、たった一つに集約できます。組み直したあとの返済計画に、返せる根拠があるかです。

審査する側にいたときの実感で言うと、通る案件と返される案件はきれいに分かれていました。

応じてもらいやすい状態

  • いまのところ約定どおり返せている:これが最大の条件です。延滞が出てからでは借り換えの枠組みに乗りません
  • 営業利益が出ている、または出る見込みが説明できる:返済原資は利益と減価償却から出ます。ここが赤字だと、期間を延ばしても返済原資がないので審査が止まります
  • 借り換えで空いた資金の使い道が具体的:「資金繰りを安定させたい」だけでは弱い。何にいくら使い、その結果どの数字がどう動くかまで書けると強くなります
  • 税金・社会保険料に滞納がない:滞納があると、公的債権が優先されるため審査は一気に難しくなります

断られやすい状態

  • 営業赤字で、期間を延ばしても返済原資が出ない:この場合の借り換えは、銀行から見れば実質的な返済条件の緩和です。形が借り換えでも、中身がリスケなら同じ扱いになります
  • 直近に別の借入をしている:借りたばかりの借入を組み直す申し出は、当初の返済計画そのものが甘かったことを意味してしまいます
  • 返済実績が浅い:ある程度返した実績があってからのほうが通りやすい、というのは実務の定石です

もう一つ、複数の金融機関から借りている会社には順番の話があります。メイン行の内諾を先に取ってから、他行に説明する。これは経営改善計画の場面で何度も痛い目を見た順序です。他行に先に話すと「メインさんはどう言っているのですか」で必ず止まります。メインが動いてから他行、という順番は借り換えでも変わりません。

自社が金融機関からどう見られているかを知りたい方は「債務者区分とは|銀行の信用格付との違い」を読んでおくと、担当者の反応の意味が分かるようになります。

日本政策金融公庫の融資は借り換えできるのか?

検索で最も多い問いがこれです。公庫の公表資料で確認できる制度は「公庫融資借換特例制度」で、対象は既往の公庫融資の借換とされています。

公庫の案内を読むと、利用できるのは特定の特別貸付制度による貸付けを受ける方に限られており、次のものが列挙されています。

  • セーフティネット貸付制度の経営環境変化対応資金および金融環境変化対応資金
  • 令和2年7月豪雨特別貸付、令和6年能登半島地震特別貸付
  • 企業再生貸付制度の事業再生・企業再建支援資金(一部の対象を除く)
  • 企業活力強化貸付制度の事業承継・集約・活性化支援資金
  • 挑戦支援資本強化特別貸付
  • 危機対応後経営安定貸付制度

返済期間は適用する制度ごとに違います。経営環境変化対応資金・金融環境変化対応資金と事業承継・集約・活性化支援資金は10年以内、事業再生・企業再建支援資金は20年以内、令和2年7月豪雨特別貸付と令和6年能登半島地震特別貸付は15年以内、危機対応後経営安定貸付制度は20年とされています(据置期間はいずれも原則1か月以内)。融資限度額は適用した特別貸付制度の貸付限度額と同じになります。

実務で見落としやすい注意点が3つ、公庫の案内に明記されています。

  1. 原則として、既往の公庫融資の借換のほかに新規融資も利用する必要がある。借換だけを希望する形は原則として想定されていません
  2. 利率は、借換対象の貸付口の加重平均金利が融資時の基準利率を上回る場合は、加重平均金利が適用される。つまり借り換えれば必ず金利が下がる、という制度ではありません
  3. 既往の融資のうち、借換の対象にできないものもある。1口ずつ確認が必要です

ここで正直に書いておきたいことがあります。この公庫融資借換特例制度の案内ページは、中小企業事業のものです。申込先も「日本公庫各支店の中小企業事業の窓口」とされています。小規模事業者の多くが利用している国民生活事業については、公庫のよくあるご質問に、セーフティネット貸付などの利用により国民生活事業の借入残高を一本化する「おまとめ融資」を取り扱っている、という記載があります(日本政策金融公庫「よくあるご質問(国民生活事業)」)。ただしこれは公庫の中の借入をまとめる話で、民間金融機関の借入を公庫に移せるかどうかは、公庫の公表資料に記載を見つけられませんでした。士業やコンサルティング会社のサイトには「民間金融機関からの借入を公庫に借り換えることはできない」と断定して書くものが多いのですが、その根拠を公庫の公表資料に見つけられなかったので、当社としては断定しません。国民生活事業の複数の借入をまとめたい方、他行の借入を公庫に移したい方は、支店の窓口で直接確認してください。

公庫の審査で何が見られるかは「元銀行員が教える日本政策金融公庫の審査」に整理しています。商工会議所・商工会経由のマル経融資については、借換に使えるかどうかが公庫・中小企業庁・日本商工会議所の公表資料に明記されていません(「マル経融資とは」参照)。

信用保証協会の「借換保証」は、いま何が使えるのか?

保証協会付きの融資を借り換える場合は、協会の制度を使います。ここは制度の入れ替わりが激しいので、現行のものだけを書きます。

借換保証(恒久的なメニュー)

全国信用保証協会連合会は、複数の借入金を1本にまとめて長期で返済し、毎月の返済額を少なくする制度として「借換保証」を案内しています。借り換えの際に新たな資金を上乗せして融資を受けることも可能とされている点が重要です。保証限度額は一般保証・経営安定関連保証ともに2億8,000万円(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)で、利用する保証の限度内という条件が付きます。

同じページに、見落とせない注記が2つあります。「借り換えできる保証制度とそうでないものがあります」と、「事業計画書の作成等が必要となる場合があります」です。手持ちの保証付融資が全部まとめられるとは限らないので、1口ずつ確認する前提で臨んでください。

コロナ借換保証は、もう申し込めない

これは間違いが多いところなので、はっきり書きます。民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度、いわゆるコロナ借換保証は、2024年6月末で申込受付を終了しています(中小企業庁の公表・令和8年9月24日更新)。例外は、令和6年能登半島地震で災害救助法の適用を受けた石川県内の地域に事業所を有する事業者で、石川県信用保証協会に保証申込がなされたものについては取扱期間が2027年3月31日までとされています。山梨県の事業者はこの例外に当たりません。

上位表示されている解説記事のなかにも「コロナ関連の支援は2025年3月までに相次いで終了」といった書き方のものがあります。制度ごとに終了時期が違うので、コロナ借換保証については2024年6月末が正しい数字です。

後継は「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」

2025年3月14日、中小企業庁は2025年3月31日に終了する「感染症対応型」の後継として、経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)の取扱いを開始しました。制度の骨格は次のとおりです。

  • 保証限度額:2億8,000万円(一般の普通・無担保保証とは別枠)
  • 保証割合:責任共有保証(80%保証)。ただし100%保証およびコロナ禍のセーフティネット5号からの借換については100%保証(いずれも保証付きの既往借入金の範囲内の額を借り換える場合に限る)
  • 保証期間:15年以内、据置期間:3年以内
  • 要件:経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等の支援により作成した再生計画等に基づくこと(中小企業庁の公表文の表記。中小企業再生支援協議会は2022年4月1日に中小企業活性化協議会として再編されています)

括弧の中の条件は、二次情報では落ちがちなので書き写しておきました。100%保証で借り換えられるのは既往の保証付借入金の範囲内までです。この制度は再生計画が前提なので、まず計画づくりの場が必要になります。その窓口については「中小企業活性化協議会とは」で解説しました。

なお、同じ日に始まった「協調支援型特別保証制度」は借換の制度ではありません。申込金融機関から本保証付き融資の実行と原則同時に、本保証付き融資額の1割以上(融資期間12か月以上)のプロパー融資を受けることが要件で、新しい資金を協調で出す枠組みです。取扱期間は2028年3月31日まで。借り換えとは別の話ですが、資金調達の選択肢として併せて検討されることがあります。

山梨県信用保証協会には、どんな借換メニューがあるのか?

全国共通の制度だけを見ていると取りこぼします。協会ごとに独自の商品があり、山梨県信用保証協会は「既存の借入を一本化して、毎月の返済負担を軽減させたい方へ」という分類で2つの借換保証を公表しています。さらに別分類に、もう一つ強力な制度があります。

 借換保証「おまとめロング」借換保証「Roll Up」プロパー融資借換特別保証制度
何を借り換えるか約定どおり返済している保証付融資返済の猶予・軽減を行っている保証付融資経営者保証を提供したプロパー融資
狙い複数を1本にまとめ、月々の返済負担を軽減借入債務の正常化経営者保証なしの保証付融資へ切り替え
保証金額2億8,000万円(普通2億円・無担保8,000万円)2億8,000万円(同)2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)
保証期間分割15年以内/一括1年以内分割15年以内/一括1年以内分割10年以内(据置1年含む)/一括1年以内
資金使途運転資金(追加資金の上乗せも可)運転資金運転資金・設備資金
信用保証料率0.45%〜1.90%0.45%〜1.90%0.45%〜1.90%
保証人法人代表者以外の連帯保証人は原則不要同左不要
取扱期間記載なし記載なし令和6年3月15日〜令和9年3月31日の保証申込受付分まで

「おまとめロング」は追加資金も乗せられる

対象になるのは、当初の約定どおり返済を履行している保証付融資の残高があり、それを返済計画に従って借換でまとめることで返済負担の軽減が図れる事業者です。保証付融資について遅滞なく返済が履行されていること、そして金融機関の積極支援先であることが条件に入っています。

実務上ありがたいのは、借換金額に新たな追加資金を乗せられる点です。ただし条件があって、借換後の返済額が現状の返済額を上回らない範囲とされています。一部を手形貸付に借り換えることもできますが、手形貸付の場合は月商の3か月以内という枠があります。協会所定の事業計画書の添付が必要です。

「Roll Up」はリスケ中の債務を正常化する制度

これは他県の一般的な解説記事でほとんど扱われていない制度なので、少し詳しく書きます。対象は返済の猶予や軽減を行っている保証付融資の残高がある事業者で、その残高を返済計画に従って借り換えることにより借入債務の正常化を図ることができる、と説明されています。返済緩和の支援を受けている状態から、金融取引を正常化させるための出口です。

ただし、ここは期待させすぎてはいけないところです。保証対象者の要件に「金融機関の積極支援先である事業者」が入っています。つまり、この制度を使えるかどうかを実質的に決めるのは、金融機関が自社を積極的に支援する先だと判断しているかどうかです。借りる側が選べる出口ではなく、返済可能性について金融機関の評価がついていることが前提の出口だと理解してください。現実的な返済計画を有することも要件です。

それでも、リスケが一方通行ではないと分かっているだけで、経営改善の計画の作り方は変わります。正常化の道筋を計画に織り込めるかどうかが、金融機関との対話の質を左右します。

「プロパー融資借換特別保証制度」は経営者保証を外す手段になる

経営者保証ありのプロパー借入を、経営者保証なしの保証付融資に借り換える制度です。保証人は不要とされています。要件は4つで、そのうち1つは計算式まで公表されています。

  1. 直前決算において資産超過であること
  2. 直前決算においてEBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること。算式は(借入金・社債−現預金)÷(営業利益+減価償却費)
  3. 法人・個人の分離がなされていること
  4. 返済緩和している借入金がないこと(申込日に満たしている必要があります)

申込金融機関における保証限度額は、保証協会の保証を付さない借入のうち経営者保証を提供していない借入残高の範囲内とされています。取扱期間は令和9年3月31日の保証申込受付分までで、期限のある制度です。②の倍率は自社の決算書から計算できますから、経営者保証を外したい方はまず自分で計算してみてください。10倍を切っていれば、話を持っていく価値があります。経営者保証の考え方全般は「経営者保証を外すには」にまとめました。

経営改善サポート保証は山梨でも両タイプが使える

先に触れた経営改善サポート保証について、山梨県信用保証協会は「既存型」と「経営改善・再生支援強化型」の両方を案内しています。既存型は取扱期間の定めがなく据置1年以内、信用保証料率は責任共有対象の場合0.80%・対象外1.00%。経営改善・再生支援強化型は取扱期間が令和8年4月1日から令和9年3月31日まで、据置3年以内、信用保証料率は保証料補助の適用後で0.40%です(責任共有対象は0.4%の補助、対象外は0.6%の補助が適用された後の料率)。いずれも認定支援機関の指導や助言を受けて作成した計画に従うことと、事業再生計画書の提出が必要とされています。

保証料率は財務内容にかかわらず一律で適用されるとされており、9区分の料率体系(0.45%〜1.90%)と比べると、区分が下位の会社にとっては大きな差になります。9区分の仕組みは「信用保証協会の審査とは|保証料率9区分」で解説しています。

山梨県の制度融資を使う場合、県のしおりには借換えの場合は通常の新規融資の申込みと同様の書類に加えて事業計画書と金融機関の同意書を添付する、という記載があります。詳細は「制度融資とは|金利が低い理由・申込みの流れと自治体の利子補給」をご覧ください。

借り換えのデメリットと落とし穴はどこにあるのか?

ここまで使える制度を並べてきましたが、借り換えには確実なコストと、見えにくい副作用があります。

確実に増えるコスト

先に試算したとおり、期間を延ばせば利息と信用保証料は増えます。加えて、契約書の印紙代、担保があれば登記の抹消と再設定の費用、金融機関によっては事務手数料がかかります。金額は案件によりますが、「毎月が軽くなる」ことの対価として総支払額は増えるという構造だけは、必ず頭に入れてから判断してください。

形は借り換えでも、中身がリスケと見られる場合がある

これは元銀行員として一番お伝えしたいことです。返済原資が明らかに足りない状態で期間を極端に延ばす借り換えは、金融機関の内部では実質的な返済条件の緩和として扱われることがあります。そうなると、正常な新規融資として組み直したつもりが、その後の資金調達が難しくなる結果を招きます。借り換えを「格付けに響かないリスケ」として使おうとすると、たいてい思惑どおりになりません。

担当者が持ってくる制度が、自社に最も有利とは限らない

これも現場で繰り返し見てきました。金融機関の担当者が提案してくる制度は、その担当者にとって手続きがしやすい制度であることがあります。県や市町村の制度融資は、利子補給や保証料補助が付いて総コストが低くなることが多いのですが、手続きが煩雑なので提案の候補から外れがちです。提示された制度が一つだけだったときは、「ほかに使える制度はありませんか」と一度聞いてみる。それだけで選択肢が増えることがあります。金利・保証料・返済期間の3つは、言われなくても自分で比較してください。

保証協会付きが大半だと、メインバンクが動きにくい

借入のほとんどに保証協会が付いている会社では、金融機関の側の貸倒リスクが小さいため、返済条件の見直しや新たな提案に積極的になりにくい傾向があります。何度も経験しました。この状態で借り換えの相談が前に進まないときは、保証協会の担当者と直接話すルートを持つ、あるいは公的な支援機関を通じて計画を作り、金融機関にも協力を求める、という回り方が有効です。相談先の全体像は「融資の相談はどこにする?相談先6つの違いと順番」に整理しました。

借り換えを相談する前に、何を用意しておくか?

ここまで読んで自社に当てはまりそうだと思われた方へ、申し込む前に自分で用意できるものを挙げます。この3点があるかないかで、金融機関との初回の話がまるで変わります。

  1. 借入金の一覧表:金融機関名、当初借入額、現在の残高、毎月の返済額、金利、残りの返済回数、保証協会付きかプロパーか、経営者保証の有無。この9項目を1枚の表にします。借り換えの相談は、この表がないと始まりません。作ってみると、どの1本が一番重いかが自分でも初めて見えることがあります
  2. 月次の資金繰り表(向こう12か月):借り換え後の返済額でいくら残るのか、何月が一番薄いのかを示す資料です。エクセルのテンプレートを無料で配布しているので使ってください
  3. 空いた資金の使い道と、その結果の数字:これが審査の要です。月約58万円が残るなら、その58万円を何に使い、売上や利益がどう動くか。「資金繰りの安定」で止めず、具体的な使途と数字まで書いてください

納税と社会保険料の状況も先に確認しておいてください。滞納がある場合は、その解消の見通しを説明できる状態にしておく必要があります。決算書のどこを銀行が見るかは「経営分析のやり方|銀行が見る指標一覧」にまとめました。

もし資金が尽きるまでの期間がすでに短くなっている場合は、借り換えの検討と並行して打ち手の順番を決める必要があります。「資金繰りが厳しいときにやるべきこと|手をつける順番」を先に読んでください。順番を間違えると選択肢が減ります。

借入の一覧表を作ってみたけれど、どれをどうまとめるのが有利か分からない。ここで手が止まりやすいところです。当社は融資・資金調達の支援として、決算書と借入一覧から借り換えが効くのかを一緒に整理しています。初回のご相談は無料ですので、表を作った段階でお持ちください。

融資の借り換えについてよくある質問

他の銀行に借り換えたら、いまの取引銀行や公庫に知られますか?

知られると考えて動いたほうが安全です。既存の借入を完済する際に金融機関側で完済の事実が生じますし、山梨県の制度融資では借換えの場合に金融機関の同意書の添付が求められると県のしおりに記載されています。信用保証協会付きの借入を借り換える場合も、協会を通じて既存の保証が整理されます。決算書は毎期どの金融機関にも提出しますから、借入構成が変わったことは次の決算で必ず見えます。隠して進めるより、メイン行に先に事情を説明して内諾を取るほうが、結果として話が早く進みます。

借り換えは信用情報(CICやJICCなど)に記録が残りますか?

事業性融資の借り換えそのものが信用情報機関にどう登録されるかは、金融機関や機関ごとの取扱いになるため一律には言えません。ただ実務上重要なのは別の点です。事業者の借入は、金融機関の内部での債務者区分と、信用保証協会が使うCRD(中小企業信用リスク情報データベース)で評価されます。借り換え自体より、その後に約定どおり返せているかが評価に効きます。延滞が出ると、記録の有無にかかわらず次の資金調達が難しくなります。

同じ金融機関の中で借り換えはできますか。何回までできますか?

同じ金融機関の中で古い借入を新しい借入に振り替える形は一般的で、むしろこちらが基本形です。回数についての上限はどの公表資料にも定められていませんが、実務上は短い間隔で何度も繰り返すと「当初の返済計画に無理があった」と受け取られ、審査が厳しくなります。回数の制限ではなく、1回ごとに返せる根拠を示せるかどうかの問題だと考えてください。

ビジネスローンやファクタリングからの借り換えはできますか?

ノンバンクのビジネスローンから金融機関の融資に切り替える方向は検討の余地があります。金利差が大きいため、切り替えられれば効果が出やすい組み合わせです。ただし金融機関の側は、ノンバンクからの借入があること自体を「他で断られた履歴」として見る場合があるため、借入の理由と現在の収支を説明できる準備が要ります。ファクタリングは債権の売却であって借入ではないため、借り換えの対象という枠組みには乗りません。手元資金を作る手段としてファクタリングを使っている状態なら、それ自体を解消する資金調達を組む相談になります。

資本性劣後ローンやマル経融資は借り換えの対象になりますか?

公庫の公庫融資借換特例制度には挑戦支援資本強化特別貸付(資本性劣後ローン)が対象として列挙されており、借換のみを希望する場合は日本公庫中小企業事業の窓口に相談するよう案内されています。制度の内容は「資本性劣後ローンとは」をご覧ください。マル経融資については、借換えに使えるかどうかが公庫・中小企業庁・日本商工会議所の公表資料で確認できませんでした。競合サイトには「借り換え不可」と断定するものがありますが、根拠を示した公表資料が見当たらないため、商工会議所・商工会の窓口で確認してください。


借り換えが効くかどうかは、決算書と借入一覧を並べればかなりの精度で見えます。営業利益と減価償却で返済原資が足りているのか、どの1本が一番重いのか、保証協会の制度に乗るのか。当社は融資の審査を内側から見てきた元銀行員として、借り換えが先なのか、リスケや別の打ち手が先なのかを切り分けるところからお手伝いしています。支援の内容は融資・資金調達の支援サービスに、これまでの支援実績は支援実績にまとめました。無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)からお気軽にご連絡ください。


監修:池田哲郎。八十二銀行で法人融資の審査・経営改善支援に従事し、事業計画や決算を「審査する側」として100件超を見てきた経験を持つ。現在は中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県で融資・補助金・経営計画の支援を行う。本記事の制度情報は、日本政策金融公庫「公庫融資借換特例制度」「よくあるご質問(国民生活事業)」、一般社団法人 全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」、中小企業庁「民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)」「物価高や人手不足等の影響を受けている中小企業者に向けた新しい保証制度の取扱いを開始します」、山梨県信用保証協会「既存の借入を一本化して、毎月の返済負担を軽減させたい方へ」「プロパー融資借換特別保証制度」「信用保証料について」の公表内容(2026年9月30日確認)に基づきます。記事中の返済額・利息・信用保証料の試算は、上記の公表算式と前提条件を用いた当社の計算例であり、実際の金額は金融機関の適用金利・料率区分・返済方法によって変わります。保証制度の取扱い・料率・取扱期間は信用保証協会ごとに異なり、また改定されます。山梨県外の方はお住まいの地域の信用保証協会の公表値を、実際の申込にあたっては金融機関または信用保証協会の窓口をご確認ください。

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