融資・資金調達

制度融資とは|金利が低い理由・申込みの流れと自治体の利子補給を元銀行員が解説【2026年・山梨】

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池田計画合同会社

公開日:2026年8月25日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

「銀行から勧められた融資、金利が思ったより高い気がする」「県の制度融資というのがあると聞いたが、どこに行けばいいのか分からない」。融資のご相談で、この2つはほぼセットで出てきます。前者と後者は、実はつながっています。

結論から言えば、制度融資とは、都道府県や市町村が制度を設計し、金融機関が貸し、信用保証協会が保証する、三者でつくる融資のことです。自治体が資金の一部を金融機関に預けることで、低い固定金利・長めの返済期間で借りられるように設計されています。民間金融機関のプロパー融資とも、日本政策金融公庫の融資とも、成り立ちが違います。

私は元銀行員で法人融資の審査に携わり、いまは中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨を中心に資金調達のご相談に乗っています。貸す側にいたので、この制度が経営者から見えにくい理由もよく分かります。制度の入口が「自治体」ではなく「銀行の窓口」にあるため、銀行の担当者が説明しなければ、存在ごと知らないまま終わるのです。

この記事では、制度融資の仕組みを「なぜ金利が低いのか」という一点から解きほぐし、申込みの流れ・審査の実際・デメリットまでを整理します。あわせて、山梨県の融資メニューと、県の一覧に載っている市町村ごとの利子補給・保証料補助の確認方法も、県の公表資料そのものから示します。

制度融資とは?自治体・金融機関・信用保証協会の三者でつくる融資のこと

制度融資は、次の三者がそれぞれ別の役割を持つことで成り立っています。ひとつの窓口が全部やってくれる制度ではない、というのが最初のポイントです。

関係者担っている役割
自治体(都道府県・市町村)融資メニューの設計、金利・限度額・期間の決定、資金の預託、保証料や利子の補助
金融機関(銀行・信用金庫・信用組合など)申込みの受付、審査、実際の貸付と回収
信用保証協会保証の審査、保証の引受け。返済が滞ったときに金融機関へ立て替え払い(代位弁済)

信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を調達するときに保証人となる公的機関です。保証が付いた融資は「保証付融資」、付かない融資は「プロパー融資」と呼ばれます(一般社団法人 全国信用保証協会連合会「初めての融資と信用保証」)。この2つの違いは融資の受けやすさそのものに直結するため、プロパー融資と信用保証協会付き融資の違いで別に詳しく整理しています。

制度融資は、この保証付融資のうち、自治体が制度として設計しているものを指します。同じ「保証協会付き」でも、自治体の制度に乗るかどうかで金利と保証料の負担が変わる、という構造です。

なぜ制度融資は金利が低いのか?──答えは「利子補給」ではなく「預託」にある

ここが、いちばん誤解されているところです。解説記事の多くは「自治体が利子補給をするから金利が低い」と書いていますが、これは順番が逆です。

山梨県が公表している「令和8年度 中小企業金融のしおり」(令和8年7月21日現在)の冒頭には、こう書かれています。

県と金融機関が協調して、原則として県信用保証協会の保証をつけて中小企業向けの融資を行います。県が制度を定め、融資原資の一部を県が預託することにより、中小企業の皆様に低利率・固定、長期の資金を融資する仕組みとなっています。

つまり、自治体が金融機関に資金を預けて、その預けたお金を融資の原資の一部に充てさせる。金融機関から見れば、自分で集めた預金より安いコストで貸せる原資が手に入るので、その分だけ金利を下げた商品を出せる。これが預託の仕組みです。金利は、その制度の利率として最初から決まっています。

利子補給は、これとは別の話です。県の制度融資に上乗せする形で、市町村が利子や保証料の一部を補助してくれることがある、という位置づけになります。山梨県のページにも「市町村によっては、融資を受けた際に、利子補給や保証料補助を受けられる場合があります」と書かれていて、あくまで市町村ごとの上乗せです(山梨県産業政策部「制度融資メニュー・目的別融資対象」・更新日2026年7月10日)。どの市町村が実施しているかは後述します。

もうひとつ、預託と一緒に押さえておきたいのが「固定」という言葉です。私がご相談で見てきた民間の事業性融資は、変動金利が基本でした。提示された金利がそのまま10年続く前提で返済計画を立てると、途中で狂います。制度融資は、しおりが「低利率・固定、長期」と明記しているとおり、そこが違う。金利の水準そのものより、返済期間中ずっと同じ利率で計算できることのほうが、資金繰り表の精度としては効いてきます。

ひとつだけ混同しないでいただきたいのは、「借りたあとの利率が固定」であることと、「制度の利率が未来永劫変わらない」ことは別だという点です。県のメニューページにも「利率は経済動向等の変化により変動する場合があります」と注記されています。制度の利率そのものは改定されますので、申込みの前に必ず現行の数字を確認してください。

申込みの入口はどこか?──山梨県の場合、まず行くのは金融機関

全国向けの解説記事を読むと、「自治体の窓口であっせん(紹介)を受けてから金融機関へ」という手順がほぼ必ず出てきます。ところが、これは自治体によって違います。山梨県の県制度融資(商工業振興資金)に、県のあっせんという段階はありません。しおりの「融資の流れ」は次のとおりです。

順番やること
①中小企業者が金融機関に融資を申し込む(あわせて保証の申込み)
②金融機関が信用保証協会に保証を申し込む
③信用保証協会から金融機関へ保証決定の通知
④金融機関が融資を実行する

ただし、その手前に置かれている工程がひとつあります。商工会議所・商工会が発行する「診査書」です。しおりの「融資申込時 必要書類一覧」を見ると、事業促進融資・小規模企業サポート融資・小規模企業強化融資・起業家支援融資・事業承継支援融資・新分野進出支援融資などのメニューで、この診査書が必要書類に入っています。一方、経済変動対策融資(不況業種対策・経営環境変動対策など)のように診査書が要らないメニューもあります。

この差は実務的にかなり大きいです。診査書が要るメニューを選ぶなら、銀行に行く前に商工会議所または商工会に相談する時間を、スケジュールに組み込んでおく必要があります。どちらが自社の地区を管轄しているかは市町村によって異なるので、そこは自分の所在地で確認してください。なお、市町村が独自に持っている融資制度は、県の制度とは設計が別です。あっせんの段階がある制度もあり得ますから、市町村の制度を使う場合は商工担当課に手順を確認するのが確実です。

審査は何回あるのか?──金融機関と信用保証協会で、別々に走る

制度融資の解説でよく見かけるのが「審査のハードルが低い」という書き方です。審査する側にいた立場から言うと、これは正確ではありません。

正しくは、審査が2つ、別々に走ります。金融機関の審査と、信用保証協会の審査です。山梨県のしおりも、融資の流れ図のすぐ下に「金融機関・保証協会の審査の結果、ご希望に添えない場合もあります」とわざわざ注記しています。制度融資のメニューページにも同じ一文が置かれています。

では何が「低い」のか。金融機関が負うリスクが低いのであって、事業者に対する審査が甘いわけではない、というのが実態です。山梨県の制度融資では、メニューごとに「責任共有」と「全部保証」が分かれています。しおりの注記によれば、責任共有は信用保証のリスクを信用保証協会と金融機関が分担する制度、全部保証は信用保証協会が100%保証し金融機関のリスク負担がゼロになる制度です。創業期向けの起業家支援融資と、小規模企業サポート融資が全部保証になっているのは、まさに実績の乏しい事業者に金融機関が貸しやすくするための設計です。

逆に言えば、この設計は「保証協会が首を縦に振らなければ話が終わる」ということでもあります。私が銀行にいたころも、支店として前向きに進めたい案件が保証協会の判断で止まる、ということは普通にありました。金融機関の担当者が「たぶん大丈夫だと思います」と言ったとしても、それは金融機関側の感触であって、保証の可否ではありません。ここを取り違えると、資金の入金予定が1か月単位でずれます。

もうひとつ、審査の前段で自分でつぶせる論点があります。信用保証協会の保証には、企業規模・業種・区域と業歴の3つの基準があり、農業、林業(素材生産業等を除く)、漁業、金融・保険業は原則として保証対象外です(全国信用保証協会連合会)。また山梨県の制度融資は、県内に事業所があり、原則として1年以上事業を営んでいる中小企業者が対象です(起業家支援融資のように、この原則の外に置かれたメニューもあります)。業種や業歴で最初から外れていないかは、銀行に行く前に確認できます。

この段階で自社が使えるメニューを絞りきれないときは、遠慮なく公的な窓口を頼ってください。山梨県は産業政策部に中小企業金融の相談窓口を置いていますし、商工会議所・商工会でも制度の紹介を受けられます。そのうえで、「借りられるかどうか」ではなく「どの順番で何を組むか」を一緒に考える相手が必要になったときは、当社の資金調達・融資支援で初回無料の相談を承っています。

制度融資のデメリットは何か?──時間、使途、そして「借りたあと」

低金利・固定・長期と良いことばかり書いてきましたが、当然、代償もあります。順番に整理します。

1. 時間がかかる

審査が2つ走る以上、プロパー融資より確実に時間がかかります。診査書が必要なメニューなら、商工会議所・商工会での手続きも前に入ります。「今月中に要る」という資金には向きません。急ぎの資金と、腰を据えて条件を取りに行く資金は、最初から分けて考えたほうがいいです。

2. 使途と限度額が決まっている

制度融資は、メニューごとに資金使途(設備・運転)と限度額、償還期間、据置期間が決まっています。設備資金として借りた資金を運転資金に回すことはできません。逆に言えば、使途がはっきりしている資金ほど制度融資と相性がいいということでもあります。

3. 「一番安いメニュー」が、要件で使えないことが多い

これは実務でいちばん頻繁に起きます。たとえば山梨県の小規模企業サポート融資は、年利率2.0%・全部保証・原則として無担保・原則として法人代表者以外の連帯保証人は不要という好条件ですが、対象は常時使用する従業員数が20人(商業または宿泊業・娯楽業を除くサービス業は5人)以下の法人・個人等で、本融資申込額と保証協会の既保証債務残高の合計が2,000万円以下であることという条件が付いています(NPO法人は対象外)。すでに保証付きの借入がある会社は、この2つ目の条件で落ちます。

ですので、私は相談を受けたとき、条件のよいメニューから順に並べて、要件で落ちるものを上から消していくという進め方をしています。「使えそうな制度を探す」よりも、「一番安い制度がなぜ使えないのかを確かめる」ほうが早いです。

4. 借りたあと、メインバンクが動きにくくなる

これは他の記事ではまず書かれていない論点ですが、審査側にいた人間としては外せません。借入の大半が保証協会付きになっている会社では、メインバンクの危機感が薄くなる傾向があります。万一のときに保証協会が立て替えてくれる以上、銀行の損失は限定されるからです。

実際、業績が傾いてから経営改善のご相談をいただいたケースで、計画を作っても金融機関が本気で乗ってこない、という場面を何度も見てきました。制度融資そのものが悪いのではありません。ただ、保証付き一辺倒で通してしまうと、いざというときに一緒に頭を悩ませてくれる銀行がいない状態になりやすいのは事実です。実績が積み上がってきたら、一部でもプロパー融資に移していく道筋を意識しておくと、あとが違います。

山梨県の制度融資には、どんなメニューがあるか

山梨県の県制度融資は「商工業振興資金」という総称で運用されています。主なメニューを、県が公表している一覧から整理します(2026年8月時点。年利率は経済動向等により変動する場合があるため、申込み前に必ず県の最新のページで確認してください)。

こんなとき融資名年利率限度額・償還期間(据置期間)
これから開業する、または開業後5年未満起業家支援融資全部保証 1.8%
(女性・若者〈34歳以下〉・シニア〈55歳以上〉支援枠 1.6%/移住者支援枠 1.5%)
設備・運転 各3,500万円 各10年以内(1年以内)
一企業限度 3,500万円
小規模事業者が事業運営に資金が必要小規模企業サポート融資全部保証 2.0%設備2,000万円 10年以内(1年以内)/運転2,000万円 7年以内(1年以内)
一企業限度 2,000万円
通常の事業運営に資金が必要事業促進融資責任共有 2.4%設備5,000万円 7年以内(1年以内)/運転2,000万円 5年以内(1年以内)
一企業限度 5,000万円
事業承継やM&Aで事業を引き継ぐ事業承継支援融資責任共有 1.7%設備1億円 10年以内(2年以内)/運転5,000万円 5年以内(1年以内)
一企業限度 1億円
事業転換・多角化や新技術・新製品の開発新分野進出支援融資責任共有 1.8%設備8,000万円 10年以内(2年以内)/運転3,000万円 5年以内(1年以内)
生産性向上・働き方改革・成長分野の事業成長やまなし応援融資責任共有 1.8%
(賃上げ特例枠 1.6%)
設備1億円 10年以内(1年以内)/運転2,000万円 5年以内(1年以内)
認定支援機関等の支援を受けて経営改善に取り組む経営力強化支援融資責任共有 1.9%設備1億円 7年以内(1年以内)/運転1億円 5年以内(1年以内)

出典:山梨県産業政策部「制度融資メニュー・目的別融資対象」および「令和8年度 中小企業金融のしおり」(令和8年7月21日現在)。上記のほか、企業立地促進融資、医療機器関連産業振興融資、経済変動対策融資、環境対策融資など、目的別のメニューが用意されています。

この表で目を引くのは、保証料の扱いです。事業促進融資・小規模企業サポート融資・起業家支援融資・事業承継支援融資・新分野進出支援融資・成長やまなし応援融資には県の保証料補助があり、しおりに載っている保証料率は「県の補助後の料率」として表示されています。さらに成長やまなし応援融資の賃上げ特例枠は、県が信用保証料を全額補助します。金利1.6%で保証料の負担がない、という条件は、民間の借入とは水準が違います。

事業承継支援融資の融資対象には、経営承継円滑化法に基づく県の認定を受けて事業承継を行う場合のほか、事業承継・引継ぎ支援センターや専門家の支援を受けて事業承継計画を作成した場合が明記されています。公的な窓口に相談しておくこと自体が、低利のメニューを開ける鍵になっている、ということです。

もう1点。経営力強化支援融資は、金融機関と認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、自ら事業計画を策定し、実行と進捗の報告まで行う事業者が対象です。計画をつくること自体が要件に組み込まれている珍しいメニューで、経営改善計画書の書き方で書いている「銀行に通る計画」の作法が、そのまま要件を満たす作業になります。

担当者に勧められた制度が、いちばん有利とは限らない

ここでひとつ、実際の相談から。創業予定のある方が金融機関に相談したところ、「起業家支援融資は使えない」と言われ、年3%台の別の保証メニューを提案されていました。理由を聞いても曖昧だったので、保証協会に直接確認してもらったところ、要件の解釈次第で使える余地が残っていました。

金額にすると、こういうことです。1,300万円を10年(元利均等)で借りる場合を試算すると、年1.8%なら利息の総額は約121万円、年3.0%なら約206万円。差は約85万円です。金利の差は0.6%でも、額と期間が乗ると、軽自動車が1台買える金額になります。

担当者に悪意があるわけではありません。手続きの手間が少ないメニューを選んでいるだけ、ということも多いです。だからこそ、「絶対に使えないのか」を一度念押しで聞く、そして可能なら保証協会に直接確認する。この2つは、事業者側でできる数少ない打ち手です。あわせて、金利・保証料・返済期間の3つをそろえて比較してください。表面の金利だけを見ると、保証料の分で順位が入れ替わることがあります。

市町村の利子補給・保証料補助は、どう確認すればいいか

県の制度融資を使うとき、市町村が上乗せで利子補給や保証料補助を出してくれることがあります。ここは同じ県内でも差があるところで、しかも県が全市町村分を一覧にして公表しています。

山梨県「県制度融資利用時の市町村補助制度一覧」(令和8年5月1日現在)から、27市町村ぶんをそのまま表にしました。○が付いているのが、その市町村が補助を実施している欄です。

市町村商工業振興資金
利子補給
商工業振興資金
保証料補助
短期事業資金
利子補給
備考問い合わせ先(担当部署)
甲府市————商工課 商工業係
富士吉田市○———商工振興課
都留市○———産業課 商工観光担当
山梨市————商工労政課 商工労政担当
大月市○———産業建設部 産業観光課
韮崎市○○—対象外融資あり商工観光課 商工観光担当
南アルプス市○—○—商工振興課 商工支援担当
北杜市○○—対象外融資あり商工・食農課 商工担当
甲斐市○———産業創造課 産業創造係
笛吹市○———観光商工課 商工労働担当
上野原市○○—対象外融資あり産業振興課 商工観光担当
甲州市————観光商工課 ワイン・商工振興担当
中央市○———産業課 商工観光担当
市川三郷町————商工観光課 商工係
早川町————振興課 観光担当
身延町————観光課 観光商工担当
南部町○———産業振興課 商工観光係
富士川町○———産業振興課 商工振興担当
昭和町○—○対象外融資あり環境経済課 農政振興係
道志村○——対象外融資あり産業振興課
西桂町○———企画財政課 商工観光係
忍野村○——対象外融資あり観光産業課 商工係
山中湖村○——対象外融資あり観光産業課 産業振興グループ
鳴沢村○○——企画課 商工・観光係
富士河口湖町○———観光課 商工係
小菅村————源流振興課
丹波山村————地域創造課

出典:山梨県「県制度融資利用時の市町村補助制度一覧」(令和8年5月1日現在)。県の商工業振興資金について利子補給に○が付いているのは19市町村、うち保証料補助にも○が付いているのは韮崎市・北杜市・上野原市・鳴沢村の4つです。短期事業資金の利子補給まで○なのは南アルプス市と昭和町の2つ。同じ県の制度融資を同じ条件で借りても、事業所がどの市町村にあるかで手取りのコストが変わる、ということです。

ただし、○が付いていないことを「制度がない」と読まないでください。この一覧自体に「詳細については、各市町村にお問い合わせください」と注記されており、県の一覧に載らない独自の融資制度や補助を持っている市町村もあります。表の右端に県が示している担当部署名を載せましたので、そこへ確認するのが確実です。

また「対象外融資あり」の注記が付いている7市町村(韮崎市・北杜市・上野原市・昭和町・道志村・忍野村・山中湖村)は、すべてのメニューが補助の対象になるわけではありません。「うちの市は利子補給がある」で止めず、「自分が使うメニューが対象かどうか」まで確認する——ここまでやって、はじめて実質の負担額が確定します。

最新の一覧は、山梨県の制度融資メニュー・目的別融資対象のページからPDFで確認できます。年度が替わると内容が動くので、申込みの前に必ず現行版を見てください。

日本政策金融公庫の融資と、どちらを選べばいいか

創業や設備投資の場面では、制度融資と日本政策金融公庫(公庫)の融資が並びます。よく「どちらが有利ですか」と聞かれますが、性格が違うので、有利・不利より何を優先するかで選ぶほうが早いです。

比較項目自治体の制度融資日本政策金融公庫の融資
貸し手民間金融機関(信用保証協会が保証)日本政策金融公庫(政府系金融機関)
信用保証料必要(自治体の補助がある場合あり)原則不要
申込みの入口金融機関(メニューにより商工会議所・商工会の診査書が前段に必要)公庫の支店・相談窓口
審査金融機関と信用保証協会で2つ公庫の審査
副次的な効果地元の金融機関との取引実績が残る公庫の取引実績が残る

私が実務で見ている判断の分かれ目は、たいてい金利を取るか、返済期間を取るかです。制度融資は低い固定金利が魅力ですが、償還期間は上の表のとおりメニューごとに上限があります。一方、公庫は資金の種類によってはより長い期間を組めることがあり、期間が延びれば毎月の返済額はその分下がります。創業直後や事業承継の直後のように、最初の数年の返済余力が薄い局面では、金利より期間が効くことが少なくありません。公庫の金利や期間は制度と時期で変わるので、日本政策金融公庫の融資制度一覧で現行の条件を確認し、実際に窓口でシミュレーションを受けてみてください。公庫側の考え方は日本政策金融公庫の創業融資にまとめています。

そして、両方借りる人もいます。地元の金融機関とは、追加の仕入資金や季節資金で継続的な関係が要ります。公庫は創業や事業承継に手厚い。片方に決めなければいけない、という前提を外すだけで選択肢は広がります。どこに相談を持ち込むかの順番については、融資の相談はどこにするかで相談先ごとの違いを整理しました。

いずれの制度でも、審査の中心にあるのは事業計画と、返済の根拠です。制度融資の申込書にも財務書類(直近2期の決算書。賃上げ特例枠は直近3期)と納税証明書が求められますし、設備資金なら見積書も要ります。数字の裏づけをどう作るかは、資金繰り表の作り方で無料テンプレートとあわせて解説しています。


制度融資についてよくある質問

「プロパー制度融資」という制度はありますか?

ありません。プロパー融資は信用保証協会の保証が付かない融資、制度融資は自治体の制度に基づく保証付融資で、両者は対になる概念です。混同されやすいのは、1件の資金調達で「保証付き+プロパー」を組み合わせる協調融資という形があるためだと思われます。なお山梨県のしおりには、保証を条件としない場合の利率は責任共有の利率に0.1%を上乗せした利率になる、という注記があります。

制度融資で借りたお金を、別の借入の借換えに使えますか?

メニューによります。山梨県のしおりには、借換えの場合は通常の新規融資の申込みと同様に申込書と各融資の必要書類に加え、事業計画書と金融機関の同意書を添付して申し込む、という記載があります。つまり借換えは想定されていますが、金融機関の同意書が要る点が新規と大きく違います。既存の借入がある金融機関の合意を先に取る必要がある、ということです。

農業をしていますが、制度融資は使えますか?

信用保証協会の保証は、農業・林業(素材生産業および素材生産サービス業を除く)・漁業・金融・保険業(一部を除く)を原則として保証対象外としています。保証が付けられない以上、保証付きの制度融資も使えません。農業には日本政策金融公庫の農林水産事業や、農協系統の融資といった別の資金調達の仕組みがあります。加工や直売など、農業以外の事業を営んでいる場合は、その事業について対象になり得ますので、個別に確認してください。

従業員がいない一人親方・個人事業主でも申し込めますか?

申し込めます。信用保証協会の利用企業のうち、およそ8割は従業員数20人以下の小規模企業です。個人事業主の場合、保証人は原則として必要ありません。ただしメニューによっては従業員数の上限や業歴の条件が付いているので、「使えない制度がある」のではなく「メニューごとに要件が違う」と考えて、条件のよいものから順に当たっていくのが実務的です。

制度融資を使うと、補助金の申請に不利になりますか?

不利にはなりません。融資と補助金は審査する主体も基準もまったく別の制度です。むしろ補助金は原則として後払いのため、採択されてから入金までの立て替え資金をどう手当てするかが実務上の課題になります。この点は補助金つなぎ融資で扱っています。


制度融資は、知っていれば使えて、知らなければ存在しないのと同じ制度です。入口が銀行の窓口にある以上、担当者が説明しなければ選択肢に上がってきません。だからこそ、経営者の側が「そういう制度がある」と知っているだけで、話の進み方が変わります。

私は八十二銀行で法人融資の審査に携わったのち、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として独立し、山梨県内の中小企業・小規模事業者の資金調達と経営改善を支援しています。制度融資も公庫も、審査する側の目線でどう見えるかを知ったうえで組み立てるのが、いちばん近道です。

「どのメニューが使えるのか」「公庫と県の制度、どちらから当たるべきか」で迷われている方は、初回無料の経営相談からお気軽にお声がけください。まずは県や商工会議所・商工会の窓口で情報を集めていただき、そのうえで計画づくりや金融機関との交渉に伴走が必要であれば、当社の資金調達・融資支援がお役に立てます。これまでの支援内容は支援実績でご覧いただけます。

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