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補助金が不採択になったら|不採択理由は開示されるのか・再申請の可否と次の一手【2026年】

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池田計画合同会社

公開日:2026年9月18日/最終更新:2026年9月29日(省力化投資補助金を第8回公募、新事業進出・ものづくり補助金を公募要領1.3版に合わせて更新) 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

何ヶ月もかけて事業計画を書いて、見積もりを取って、加点のための認定も取って、そして届くのは一行の通知です。「補助金交付候補者として採択されませんでした」。理由は書かれていない。事務局に電話しても教えてもらえない。私も支援先と一緒に、この通知を何度も受け取ってきました。

結論から言えば、確認した3制度の公募要領はいずれも、審査の詳しい内容は開示しないと定めています。落ちた理由は、原則として自分で審査項目に照らして突き止めるしかありません。唯一の例外に近いのがデジタル化・AI導入補助金で、事務局が通知する事項の範囲では不採択理由が示される余地があるため、まず届いた通知の中身を確認してください。ただし再申請ができるかどうかは制度ごとに公募要領で定められており、そこには書かれている。ここを混同すると、次の一手を打つ順番を間違えます。

この記事では、士業やコンサルの解説をなぞるのではなく、現行の公募要領そのものを開いて確認します。取り上げるのは、当社がよくご相談を受ける3つの制度です。省力化投資補助金(一般型・第8回公募)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回・公募要領1.3版)、そしてIT導入補助金の後継であるデジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)。いずれも2026年9月29日時点で公開されている公募要領の原文にあたりました。

先に申し上げておくと、この記事は融資の審査の話ではありません。私は元銀行員で法人融資の審査に携わっていましたが、補助金の審査と融資の審査は目的も基準もまったく別のものです。融資は返済してもらえるかを見ます。補助金は政策目的に合っているか、実現できるか、加点要件を満たしているかを見ます。共通するのは「計画の数字に根拠があるかを問う目」だけで、それ以外を重ね合わせると判断を誤ります。ここでは認定経営革新等支援機関として、補助金の審査だけの話をします。

不採択の通知が届いた。まず何を確認すればいいのか?

通知を開いて落胆したあと、最初にやるべきなのは原因探しではありません。「いつまでに、次にどれが出せるか」という時間の確認です。原因の分析には数日かかりますが、次の公募の締切は待ってくれないからです。

確認する順番は、こうなります。

順番確認することなぜ先に確認するのか
1同じ補助金の次回公募があるか、その締切はいつか締切から逆算しないと、加点の認定取得が間に合わない
2その制度で再申請が認められているか(公募要領の明文)制度によって書きぶりが違う。一般論で判断しない
3設備や工事を、すでに発注・契約していないか発注済みだと、別の補助金に載せ替えられなくなる
4過去に賃上げ加点を取って採択され、その要件を達成できていないか該当すると次の申請で大幅に減点される(後述)

3番と4番は、多くの解説記事が触れていない項目です。けれども実務では、この2つに引っかかっていると「計画を書き直せば次は通る」という前提そのものが崩れます。順番を守って確認してください。

不採択の理由は教えてもらえるのか?

制度によって書きぶりに差はありますが、詳細な審査内容が開示されないという点は、確認した3制度すべてで共通していました。公募要領の原文を並べます。

制度(公募回・版)公募要領の原文
省力化投資補助金(一般型・第8回)「補助金交付候補者の『採択結果』についての理由開示及び異議申し立ては一切受け付けておりません」/「審査結果の公表後、採択者及び不採択者に対して事務局から審査結果を通知します。なお、審査結果の詳細な内容についてはお答え致しかねます」
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回・1.3版)「採択結果についての理由開示及び異議申立は一切受け付けておりません」
デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)「採択・不採択に関わらず審査内容は開示しない」/「不採択理由については、事務局から通知する事項以外は開示しない」

ここで、読み飛ばしてほしくない箇所が2つあります。

1つめは省力化投資補助金です。「理由開示は受け付けない」と書きながら、その同じ公募要領が「採択者及び不採択者に対して事務局から審査結果を通知します」と書いています。つまり落ちた人にも何かしらの通知は届く。届かないのではなく、届いた通知に詳しい理由が書かれていない、というのが正確な状態です。「通知すら来ない」と思って放置すると、届いている情報を見落とします。

2つめはデジタル化・AI導入補助金です。この公募要領は2026年8月28日付で、この部分の文言そのものが改訂されています。改訂履歴に、こう記録されています。

文言
改訂前なお、採択・不採択に関わらず審査内容・不採択理由については開示しない。
改訂後(2026年8月28日〜)採択・不採択に関わらず審査内容については開示しない。/不採択理由については、事務局から通知する事項以外は開示しない。

「不採択理由については開示しない」が、「事務局から通知する事項以外は開示しない」に変わりました。言い換えると、事務局が通知する範囲では不採択理由が伝えられる余地ができたということです。全面非開示だった状態から、一歩だけ動いています。

これは公募要領の改訂履歴を読まないと気づけません。そして私自身、この手の見落としで痛い目を見ています。以前、事務局が公募スケジュールを途中で変更していたのに古い日程のまま準備を進めていたことがありました。制度の記事や他社の解説は、書かれた時点の公募要領のスナップショットです。申請の実務に入るときは、必ず版番号と改訂日を見てください。たとえば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の公募要領は、2026年6月29日の初版のあと、7月17日に1.1版、8月14日に1.2版、9月28日に1.3版と、公募期間中に3回改訂されています。

同じ事業で、もう一度申請できるのか?

ここは開示されない部分とは逆で、公募要領にはっきり書かれています。そして書き方が制度ごとに違います。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領(第1回・1.3版)は、再申請について正面から書いています。

本補助金の補助金交付候補者として不採択となった事業者は、事業計画の見直しを行った上で、再度申請することができます。

「再申請できます」だけではなく「事業計画の見直しを行った上で」という条件が付いていることに注目してください。同じ計画書をそのまま出し直すことを、制度側は想定していません。同じ箇所では、同一事業者の応募は1回の公募につき1申請に限ることも定めており、みなし同一事業者(親会社が議決権の50%超を持つ子会社など)も1申請に数えられます。さらに、一定の条件を満たす場合に限り、すでに採択または交付決定を受けた事業者でも2回目の申請ができる、という記載もあります。

省力化投資補助金(一般型・第8回)の公募要領には、不採択後の再申請について新事業進出補助金のような一文は置かれていません。定めているのは、同一法人・事業者の応募は公募回ごとに1申請に限り、同時申請はできないという回数の制限です。不採択になった事業者が次の公募回に出し直すことを禁じる規定は、公募要領には見当たりませんでした。

デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)は、少し読み方に注意が要ります。この制度は応募して採択され、そのあと交付申請をする、という二段階になっていません。公募要領の「3-1 補助事業の流れ」を見ると、事前準備のあとは交付申請の作成・提出、そして交付決定と進みます。この制度では交付申請そのものが申請にあたり、その審査(3-3 交付申請の審査)の結果が採択・不採択です。だから再申請の話も、「交付申請」という言葉で書かれています。

そのうえで公募要領(3-2 交付申請)は、申請回数の制限と、その例外という形で定めています。申請回数は1法人・1個人事業主あたり1回のみで、同時に複数の交付申請はできません。ただし次の場合は、次回以降の締切までに交付申請が可能だとしています。

  • 各締切回で公表される採択結果にて不採択となった場合
  • 交付決定後から、実績報告を経て補助金の交付を受けるまでに取下げをした場合

つまり不採択は、次の締切回に出し直すための条件として明文で扱われているわけです。落ちたこと自体がペナルティになる仕組みにはなっていません。ここは安心してよい部分です。

制度ごとの手続きは、それぞれの記事にまとめています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の枠と要件、省力化投資補助金 一般型の補助率と賃上げ要件、IT導入補助金からデジタル化・AI導入補助金への名称変更をあわせてご覧ください。

理由が開示されないなら、どうやって原因を突き止めるのか?

原則に戻ります。審査項目と加点・減点の要件は、公募要領に書いてあります。個別の配点や点数、講評までは公表されていませんが、何を見られるかという物差しは最初から公開されています。だから原因の推定は、実は手元でできます。

私がクライアントと申請書を作るときは、公募要領の審査項目のページを画面に出して、1項目ずつ読み上げながら進めます。「ここは10点中何点という形でつけていくので、基本的には全部ちゃんと書いておかないと0点なんです」と説明します。裏を返すと、落ちた計画書の点検も同じやり方でできるということです。審査項目を1行ずつ書き出し、自分の計画書のどの段落がその項目に答えているかを突き合わせる。対応する段落が見つからない項目が、点を落とした可能性が高い候補です。

この突き合わせをやると、現場では次の3つがよく出てきます。私が支援の場で実際に繰り返し見てきた型です。

経費の構成が、その事業者に合っていない

ある持続化補助金の案件で不採択の分析をしたとき、事業の中身自体はしっかりしていたのに落ちていました。原因は経費でした。プレスリリースの費用が大きく積まれていて、その事業者が本当に必要としている投資と噛み合っていなかったのです。汎用的な経費の型をあてはめると、計画全体のストーリーから浮きます。審査員は事業の説明を読んだ直後に経費の内訳を見ますから、そこで繋がっていないと「本気で必要なのか」が伝わりません。経費は事業者ごとに組み直す。これが採択率にいちばん効きます。

主張に数字の裏付けがない

申請書に「リピーターが多い」「顧客からのニーズがある」と書いてあると、私は必ず「何人ぐらいですか」「何%ぐらいですか」と聞き返します。正確な数字でなくて構いません。ざっくりで入れてもらう。審査員は「本当なのか」という目で読むので、数字があるだけでリアリティが変わります。

ただし条件があります。概数を出すなら、その出典を言えることが前提です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の審査項目は、新事業進出枠の新市場性について「それらを裏付ける客観的なデータ・統計等が示されているか」と問い、省力化投資補助金も技術面の審査項目で「その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか」を見ます。自社実績や業界統計といった根拠を持たない数字は、かえって記載内容を疑われる材料になりかねません。全部が文章だと読みにくくもなるので、一部にデータや簡単なグラフを入れると印象が変わります。

売上実績がゼロの新事業で出している

本業が安定していて、まったく新しい分野に踏み出すタイミングで申請する。この形は、実は採択率が低くなりがちです。実績がゼロだと「なぜこの事業でなければならないのか」という必然性を説明しにくく、売上目標が机上の空論に見えやすいからです。審査では「すでに実績がある事業をさらに伸ばす」という構図のほうが納得されます。

では新規事業では諦めるのかというと、そうではありません。以前、本業が不動産賃貸で医療機器の代理店業を始めたばかりという会社のご相談を受けたことがあります。売上実績はほぼゼロ。ただ、代表者にその業界で27年のキャリアがありました。実績の不足は、経営者の経歴と専門性で埋める。「長年の経験を活かして独立した」という背景を丁寧に書き込むことで、計画の説得力が出ます。

審査項目ごとの書き方は「補助金の事業計画書の書き方」に、記入例とチェックリスト付きでまとめてあります。落ちた計画書を点検するときの物差しとして使ってください。


ここまで読んで「自社の計画書のどこが0点だったのか、自分では見当がつかない」と感じた方もいると思います。当社では、不採択になった申請書をお持ちいただいて、審査項目と突き合わせながら一緒に点検しています。初回無料相談(お問い合わせフォーム)からご連絡ください。これまでの採択実績もあわせてご覧いただけます。


次の公募までに、何をしておくのか?

計画書の書き直しは、締切の直前でもできます。締切の直前にはできないのが、加点項目の取得です。だから不採択が分かった時点で先に着手すべきなのは、こちらのほうです。

私はクライアントに「申請するしないにかかわらず、取れるものは取っておいたほうがいい」とお伝えしています。加点は、申請を決めてから動くと間に合わないことがあるからです。ただし、どの認定が加点になるかは制度ごとに違います。代表的なものについて、この記事で確認した3制度での扱いと、必要な期間の目安を並べます。

加点になる認定・宣言確認した3制度での扱い準備にかかる期間の目安
事業継続力強化計画省力化投資補助金(一般型・第8回)と新事業進出・ものづくり補助金の加点項目。デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の加点項目にはない標準処理期間45日+GビズIDの取得期間
パートナーシップ構築宣言新事業進出・ものづくり補助金の加点項目(令和8年1月1日に更新されたひな形で宣言を公表していること)。他の2制度の加点項目にはないポータルサイトへの登録から公表まで通常約10日(申請が集中する時期はさらに数日)
経営革新計画新事業進出・ものづくり補助金の加点項目(申請締切日時点で有効な承認)。他の2制度の加点項目にはない都道府県により異なる。事前相談から数ヶ月見る

デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の加点は、クラウド製品の選定、賃金引上げ計画、健康経営優良法人やえるぼし・くるみんの認定といった別の項目で組まれています。次にどの制度を出すかが決まったら、その公募要領の加点一覧から逆算してください。

事業継続力強化計画は、中小企業庁の制度概要で審査の標準処理期間が45日とされています。あくまで標準であり、その前にGビズIDの取得や申請書の準備もあるので、締切の45日前に思い出したのでは余裕がありません。次の公募の締切から逆算して、いま何日残っているかを数える。それが不採択の翌週にやる作業です。詳しい逆算のしかたは「事業継続力強化計画とは|認定まで45日・補助金の加点と税制優遇」に、パートナーシップ構築宣言のひな形と加点の逆算もあわせて用意しています。

もうひとつ、加点をめぐって最近よく話すことがあります。事業計画の文章そのものは、生成AIを使えば誰でもそれなりに書けるようになりました。文章の巧拙で差がつきにくくなっている以上、手続きで取れる加点を取りこぼさないことの相対的な重みが上がっています。面倒ではありますが、面倒だからこそ差になります。

「次は別の補助金で」と考える前に、確かめること

不採択のあと、同じ設備を別の補助金に載せ替えようとする方は多いです。合理的な判断ですが、その前に確認しておかないと詰む項目が2つあります。

すでに発注・契約していないか

事前着手が認められる補助金は珍しく、魅力的に見えます。ただ、事前着手の届出をして実際に発注や支払いまで済ませてしまうと、不採択だった場合に同じ設備を別の補助金で申請できなくなることが多いのです。多くの補助金は交付決定日より前に契約・発注した経費を補助対象外としているからです(着手の扱いは載せ替え先の制度ごとに決まるので、そちらの公募要領で確認してください)。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領にも「交付決定日より前に補助事業に係る製品の購入や役務の提供に係る契約(発注を含む)等した経費は、補助対象になりません」と明記されており、省力化投資補助金(一般型・第8回)の公募要領は交付決定前に発生した経費について「いかなる理由であっても事前着手は認められません」、デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の公募要領も「交付決定後に契約、発注を行うこと」としています。

実務上の線引きはこうです。業者との見積もり取得や打ち合わせだけなら問題にならない。発注・契約締結まで進むと、次の補助金への載せ替えが難しくなる。事前着手が使える制度を検討するときは、不採択だったときのプランBを先に用意してから判断してください。なお事前着手の可否と条件は制度ごとに大きく違い、届出をすれば自由に発注してよいという制度ばかりではありません。必ず当該制度の公募要領の原文で確認してください。

過去の賃上げ加点が、未達になっていないか

これは見落とされがちですが、影響が18か月に及びます。省力化投資補助金(一般型・第8回)の公募要領は、減点項目としてこう定めています。

中小企業庁が所管する補助金において、賃上げに関する加点を受けたうえで採択されたにもかかわらず、申請した加点項目要件を達成できなかった場合は、効果報告等において未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたっては、正当な理由が認められない限り大幅に減点を行います。

ここで言う「中小企業庁が所管する補助金」は、同じ公募要領に列挙されています。ものづくり補助金、IT導入補助金、デジタル化・AI導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金、成長加速化補助金、事業再構築補助金、省力化投資補助金、GoTech事業。省力化投資補助金の規定では、どの制度で加点を受けて未達になったかを問わず、中小企業庁所管の補助金に申請するときに減点がかかります。「あの補助金がだめだったから、こちらの補助金で」という乗り換えが、減点を抱えたまま行われている可能性があるということです。

他の2制度にも同じ趣旨の減点があり、書き方が少しずつ違います。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(1.3版)は、減点の対象を「本補助金への申請」とし、事業化状況報告等で未達が報告されてから18か月としています。デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)は、この補助金で加点を受けて未達になった場合に18か月間の減点を定めるほか、他の中小企業庁所管補助金で賃金引上げ計画による加点を受けて未達になった事業者も、公募回の範囲を示したうえで減点の対象に挙げています。

減点を免れる正当な理由として公募要領が挙げているのは、災害を受けて事業に著しい損失があった場合などです。新事業進出・ものづくり補助金とデジタル化・AI導入補助金は、震災・風水害・火災などの災害や盗難による著しい損失(国税通則法第46条)と、これに準ずるものとして中小企業庁が認めた場合を示し、報告の提出時に理由を説明して、認められた場合に限り減点を免除するとしています。過去に賃上げ加点で採択された案件がある方は、その効果報告や事業化状況報告の状況を先に確認してください。

同じ減点の項目には「過剰投資の抑制」もあり、省力化投資補助金と新事業進出・ものづくり補助金の両方に置かれています。特定の期間に類似のテーマ・設備の申請が集中している場合、一時的な流行による過剰投資を誘発する恐れがあるとして別途審査が行われ、過剰投資と判断されると減点されます(新事業進出・ものづくり補助金では「大幅な減点」)。流行りの設備というだけで減点されるわけではありませんが、申請が集中しているテーマに乗った計画は、この別途審査の対象になりうる。これは審査員の心証の問題ではなく、明文の規定です。

載せ替え先を探すときは、規模の考え方も見直す価値があります。創業間もない会社や3期未満の会社が千万円台の大型補助金を狙うのは、実績の面でも、全額立替のための資金手当ての面でもハードルが高い。百万円台の補助金を複数狙うほうが、通る確度は上がります。ただし同じ経費を二重に受給することはできませんから、経費を切り分けて設計してください。使える制度の全体像は「山梨県の中小企業が使える補助金一覧」にまとめています。

自分で直すか、誰かに頼むか

ここは正直に書きます。不採択を1回経験したあと、ご自身で審査項目と突き合わせて直せる方は実際にいらっしゃいます。一方で、何がずれているのか分からないまま2回、3回と出し続けてしまう方もいます。分かれ目は、審査項目のうち「自分では答えたつもりだが、読み手には答えたと見えていない」項目を自覚できるかどうかです。ここは自力では気づきにくい。

外部に頼むと決めた場合、契約の形に一点だけ気をつけてください。公募が定期的にある補助金で再申請を前提にするなら、「通るまで」の包括契約になっているかを確認することです。持続化補助金のように年に複数回公募がある制度で、公募のたびに着手金が発生する形だと、通らないほど費用がかさむ構造になります。逆に年1回程度の制度であれば、1回ごとの契約のほうが自然です。制度の公募頻度と契約の形が噛み合っているか。これは依頼する前に聞けます。

なお、補助金の申請支援には行政書士法をはじめとする業務範囲の問題があり、誰に頼めるかの線引きがあります。業者の見分け方も含めて「補助金申請の代行は誰に頼む?違法の線引き・費用の見方・業者の見分け方」に整理しました。省力化投資補助金の公募要領も冒頭で「事業計画は申請者自身で作成してください。過大な成功報酬を請求する支援業者等への依頼はトラブルの原因となります」と注意を促しています。

公的な相談窓口を使う手もあります。お住まいの地域の商工会議所・商工会でも補助金の相談ができ、持続化補助金では事業支援計画書を発行するなど、申請の過程で関与する立場でもあります。まずはそこで話を整理してから、伴走が必要かどうかを判断するのも現実的な進め方です。

補助金の不採択についてよくある質問

不採択になった事業者名は公表されますか?

公表されるのは採択された事業者です。省力化投資補助金(一般型・第8回)の公募要領は、採択発表日に、採択を受けた補助事業者の事業者名、法人番号、住所(市区町村まで。個人事業主は都道府県まで)、事業計画名、支援機関名等をホームページに公表すると定めています。不採択者の名前を公表する規定は置かれていません。なお、確認した3制度とも、申請すると「中小企業庁関連事業データ利活用ポリシー」に同意したものとみなされます。デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領に別紙として収録されたこのポリシーでは、政策効果の検証(EBPM)に係る誓約書を取り交わした研究者等に、採択・不採択の別や審査点を含むデータが提供される場合があるとしています。

異議申立てや再審査を求めることはできますか?

できません。省力化投資補助金(一般型)と新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、いずれも採択結果について理由開示と異議申立てを一切受け付けないと明記しています。デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の公募要領も審査内容は開示しないとしており、異議申立ての手続きは定めていません。不服を申し立てる手続きは用意されていないと考えてください。次の公募に向けて計画を見直すほうが、確実に前に進みます。

口頭審査を受けなかった場合も不採択になりますか?

なります。ただし公募要領の書き方は制度ごとに違います。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じてオンラインで口頭審査を行い、対象になったのに受験がなかった場合は不採択になると明記しています。省力化投資補助金(一般型)は、ソフトウェア投資やシステム開発など書面では計画の詳細を理解しにくい案件を中心に口頭審査を行い、連絡がつかず日時の調整ができなかった場合や、審査対応者以外の同席が確認された場合などは、申請を辞退したものとみなして不採択となる場合があるとしています。どちらも、審査対応者が申請事業者自身でないと判明した場合は、不採択や交付決定の取消、補助金返還の対象になります。事務局からの連絡を見落とさないようご注意ください。

不採択になった事業計画で、そのまま融資を申し込めますか?

申し込むこと自体は可能ですが、書類はそのままでは使えないとお考えください。補助金の審査は政策目的への適合と事業の実現性を見ますが、金融機関の審査は返済できるかどうかを見ます。見るところが違うので、返済原資と返済計画を軸に組み直す必要があります。設備投資の資金繰りをどう手当てするかは「補助金つなぎ融資とは」で扱っています。

助成金でも「不採択」になることはありますか?

制度の性質が違います。補助金は主に経済産業省・中小企業庁や自治体が税金を財源に公募し、予算と採択件数が限られるため、要件を満たしていても採択されないことがあります。一方、助成金は主に厚生労働省が雇用保険などを財源とする雇用関係の制度が中心で、決められた要件を満たせば原則として支給される設計です。その場合は「審査で落ちる」というより、要件の不備や書類の不足が問題になります。ただし名称と制度設計が一致しないもの(助成金という名前でも審査で選ぶ制度)もあるため、個別の制度は必ず公募要領で確認してください。両者の所管・財源・審査の違いは「補助金と助成金の違いとは」に整理しています。


不採択の通知は、その事業に価値がないという判定ではありません。審査項目のどこかが、読み手に伝わる形で埋まっていなかっただけのことが大半です。当社は認定経営革新等支援機関として、落ちた申請書を審査項目と突き合わせて点検し、次の公募に向けて経費の構成から加点の取得スケジュールまで一緒に組み直しています。補助金申請サポート(AI補助金診断)をご覧のうえ、初回無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)からお気軽にご連絡ください。


執筆:池田哲郎。中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県を中心に補助金・融資・経営計画の支援を行う。金融機関で法人融資の審査に従事した経歴を持つ。本記事の制度情報は、中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)」(2026年9月18日改訂版)、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版」(2026年9月28日改訂)、「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」(2026年8月28日改訂)、および中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」(令和8年7月17日版)、「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト 登録方法」の原文(いずれも2026年9月29日確認)に基づきます。公募要領は公募回ごとに、また同一の公募回の中でも改訂されます。実際の申請にあたっては、必ず当該公募回の最新版の公募要領をご確認ください。

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