公開日:2026年8月30日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)
「事業承継計画書を出してくださいと言われたのですが、何を書けばいいのでしょう」。この相談を受けたとき、私が最初に確認するのは書き方ではありません。それを、どこに出すよう言われたかです。同じ「事業承継計画書」という名前でも、提出先によって様式も期限も、書くべき中身も違うからです。
結論から言えば、事業承継計画(書)とは、誰にいつ事業を引き継ぎ、そのために何をするかを時系列で示した計画のことです。法律で定められた1つの様式があるわけではなく、自社の話し合い用・都道府県への提出用・日本政策金融公庫への提出用・信用保証協会への提出用の4つの提出先があり、求められる形式がそれぞれ違います。
私は元銀行員として法人融資の審査に携わり、いまは中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨を中心に事業承継のご相談に乗っています。県の事業承継・引継ぎ支援センターでの経験もあります。融資を審査する側にいたとき、事業承継計画書は「提出された書類」の一つとして手元に回ってきました。だからこそ、どの欄が読み飛ばされ、どの欄で担当者の手が止まるかは、はっきり見当がつきます。
この記事では、まず4つの提出先を切り分け、それぞれの様式と期限を一次資料で押さえます。そのうえで、10年分の計画表に何を書くのか、そして金融機関が事業承継計画のどこを見ているのかを、審査側の目線で書きます。ここは公的機関の解説にも、仲介会社の記事にも載っていないところです。
事業承継計画とは何か?「計画書」と「計画表」の2つで1組になっている
事業承継計画は、中長期の経営計画に事業承継の時期・課題・対策を組み込んだものです。実務では次の2つで1組として扱います。
- 事業承継計画書……経営理念、会社の現状、承継にあたっての課題と対策を文章でまとめたもの
- 事業承継計画表……その対策を「現在から10年目まで」の時間軸に並べた一覧表
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、この2つをそれぞれExcelの記入様式として配布しています(「事業承継計画表記入様式」と「事業承継計画書(骨子)記入様式」)。実際に計画表の様式を開くと、縦軸には事業計画(売上高・経常利益)/会社(定款・株式・その他)/現経営者(年齢・役職・関係者の理解・株式財産の分配・持株比率)/後継者(年齢・役職・社内および社外での後継者教育・持株比率)が並び、横軸が「現在・1年目・2年目……10年目」になっています。この10年分のマス目を埋めていくのが、事業承継計画表です。
ここで手が止まる方が多い。私は、いきなり様式を開かないようにお願いしています。空欄のマス目を前にすると、人はきれいごとを書いてしまうからです。順番は後ほど示します。
あなたが求められている事業承継計画は、どこに出すものか?
ここが本題です。「事業承継計画書を出してください」と言われたとき、提出先は次の4つのいずれかです。提出先が違えば様式も期限も別物なので、まずここを確定してください。
| 提出先 | 何のために出すか | 様式 | 期限 |
| ①どこにも出さない(自社用) | 現経営者と後継者の認識をそろえる。取引先・従業員への説明の土台 | 中小機構の計画表・計画書(骨子)記入様式など。自由 | なし |
| ②都道府県 | 事業承継税制(納税猶予)を使うための前提となる確認・認定/経営承継円滑化法の金融支援(別枠保証・公庫融資)の認定 | 特例承継計画(様式21)/個人事業承継計画(様式21の3)/金融支援は認定申請書(様式第6・6の2・6の3) | 税制はあり(下記)。金融支援は融資・保証の申込前 |
| ③日本政策金融公庫 | 事業承継・集約・活性化支援資金の融資を申し込む | 公庫指定の「事業承継計画書」(記入例つき) | 融資の申込時 |
| ④信用保証協会 | 事業承継特別保証(経営者保証のない保証)を利用する | 協会所定の事業承継計画書+財務要件等確認書 | 保証の申込時 |
②と③と④は、名前が似ていても中身がまったく違います。②は税制の入口として「後継者は誰か、承継までの経営見通しはどうか」を書き、認定経営革新等支援機関の指導助言を受けた旨を記載します。③は融資の審査書類として「その資金を何に使い、どこから調達するか」まで書きます。④は保証審査のために、財務要件の確認とセットで出します。
提出期限があるのは、都道府県ルートだけ
期限の話は混乱しやすいので、原文で押さえます。中小企業庁のページには、法人版事業承継税制(特例措置)について「平成30年4月1日から令和9年9月30日までに、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた旨を記載した特例承継計画の提出が必要です」と記載されています(2026年4月24日更新)。個人版については「平成31年4月1日から令和10年9月30日までに」個人事業承継計画の提出が必要とされています(2026年7月10日更新)。
ここは注意してください。ネット上には、この期限を「2026年3月31日まで」と書いたままの解説記事が、いまも上位に残っています。以前は別の期限が設定されていた時期があり、その記述が更新されないまま残っているものです。期限が来ていると思って諦めてしまうと、使えるはずの制度を逃します。事業承継税制そのものの中身と落とし穴は「事業承継税制とは」で詳しく整理しているので、税制を検討中の方はそちらをご覧ください。
③と④に法定の提出期限はありません。融資や保証を申し込むときに一緒に出す書類です。ただし後述するとおり、申し込む直前に慌てて作った計画は、読めば分かります。
事業承継計画は、何から書き始めるのか?
順番があります。私が現場で必ず踏む3ステップです。
第1に、後継者に箇条書きで書き出してもらいます。自社の強みと弱み、得意な仕事と苦手な仕事、いまのお客様の特徴、5年後にどんな会社にしたいか、1年以内にやりたいこと、経営面で身につけたい知識。この6つです。難しく考えず、箇条書きで構わないとお伝えしています。日々の仕事に追われていると、引き継ぐために何をすべきかを考える時間そのものがありません。紙に書き出すと、それが可視化されます。様式を開くのはこの後です。
第2に、株式の所在を確定し、集約の期限を切ります。ここは順番を譲れません。以前、株主が分散していたある製造業の同族会社で承継のお手伝いをしたことがあります。受注の変動、人手不足、設備の更新、補助金の申請と、現場の課題が同時に山積みでした。それでも私は、株式の話を先に固めることをお願いしました。すでに亡くなっている株主の相続人まで含めて、誰が何株持っているかを全部洗い出し、「今期中に集約する」と期限を切る。株が固まらないと、承継のスキーム全体が動かないからです。現場の課題は並行して進めればよく、株式集約の前提条件にはしません。純資産が小さく株価が低い局面は、集約のコストが下がるという意味ではむしろ好機です。
第3に、承継の時期を先に置きます。何年後に代表を交代するかを決めてから、そこに向けて逆算する。時期が決まらないまま項目だけ埋めていくと、10年の計画表がただの願望リストになります。
現経営者と後継者で意見が食い違うことは、むしろ普通です。現社長は新規事業や海外まで見据えているのに、後継者は既存事業を固めたいと考えている。こういうとき、どちらが正しいかの議論に持ち込むと計画は止まります。設計の手法としては、保守ルートと挑戦ルートの2本を並べて書いてしまうのが実務的です。会社の現状分析・業界環境・組織課題・人材育成といった共通部分は1つにして、その先の絵だけを2本にする。温度差が可視化されるので、対話が前に進みます。
10年の計画表には、どんな数字を置けばいいのか?
計画表で迷うのは、売上高と経常利益、そして持株比率の3つです。それぞれ考え方を示します。
| 欄 | 何を置くか | つまずきやすい点 |
| 売上高・経常利益 | 現在の実績を起点に、承継までの数年は保守的に、承継後に後継者の施策が効く形で置く | 右肩上がりの直線を引いてしまう。根拠のない伸びは、読む側にすぐ分かる |
| 現経営者の年齢・役職 | 実年齢を10年分。代表取締役→会長→退任などの節目を明記 | 役職の節目を書かず「徐々に」で済ませる |
| 持株比率 | 現経営者と後継者の比率が、何年目に何%動くかを数字で | 合計が100%にならない。分散株主の存在を書き落とす |
| 後継者教育(社内・社外) | いつ、どの部門を経験し、いつ役員に就けるか。社外は研修・セミナー等 | 「経営者としての自覚を持たせる」のような測れない記述だけになる |
| 関係者の理解 | 従業員・取引先・金融機関に、いつ誰が伝えるか | 金融機関への説明を計画に入れ忘れる |
言葉だけでは伝わりにくいので、実際に埋めるとどうなるかを示します。従業員15名の製造業で、現社長62歳・後継者は長男(35歳・入社10年目)、5年目に代表交代という前提で作った場合の抜粋です。数字は説明用の例ですが、置き方はそのまま使えます。
| 項目 | 現在 | 1年目 | 3年目 | 5年目 | 7年目 |
| 売上高 | 4.2億円 | 4.2億円 | 4.4億円 | 4.6億円 | 5.0億円 |
| 経常利益 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,700万円 | 1,900万円 | 2,200万円 |
| 現経営者:年齢/役職 | 62/代表取締役 | 63/代表取締役 | 65/代表取締役 | 67/会長 | 69/会長(非常勤) |
| 後継者:年齢/役職 | 35/製造部長 | 36/取締役 | 38/専務取締役 | 40/代表取締役 | 42/代表取締役 |
| 持株比率(現経営者/後継者/その他) | 78/2/20 | 78/2/20 | 58/22/20 | 28/52/20 | 0/80/20 |
| 株式・財産の分配 | 分散株主4名の相続人を調査 | 親族外役員分20%を自社株買い取り交渉 | 暦年贈与を開始 | 議決権が後継者に移る | 残りを一括で移転 |
| 後継者教育(社内/社外) | 製造・営業を経験済 | 資金繰りと決算の説明を同席で | 金融機関との交渉を主担当に | — | — |
| 関係者の理解 | — | 幹部社員へ内示 | 主要取引先へ挨拶 | 全社員・金融機関へ正式通知 | — |
この表で私が意図的にやっていることが3つあります。1年目の売上を伸ばしていないこと(承継の準備をする年に業績まで伸びる計画は、読む側に疑われます)。持株比率が過半を超える年を明示していること(議決権が動く年が承継の実質的な節目です)。そして、関係者への通知を代表交代と同じ年に置いていることです。並べてみると、株式・役職・数字・人への説明が同じ年にどう噛み合うかが見えます。噛み合っていない計画は、たいていこの表を作った時点で気づきます。
後継者教育の欄は、形骸化しやすいので補足します。後継者教育に明確なゴールを置くのは、正直に言えば難しい。業務計画やデジタル化のスケジュールは定量的に追えますが、人間力やリーダーシップは目に見えないからです。だから私は、月に1〜2回の面談で定点観測することをお勧めしています。半年前と比べてどう変わったか、社員との関係はどうか、発言の内容は深くなっているか。本人が気づいていない成長を、外部の目で指摘することにも意味があります。計画表には、この「いつ、何を見て判断するか」を書ける範囲で入れておくと、後で振り返れる計画になります。
なお、中小機構の計画表の様式には、注意書きとして「計画の実行にあたっては専門家と十分に協議した上で行ってください」と明記されています。株式の移転は税務の問題と直結するので、税額の最終的な判断は顧問税理士に確認してください。
ここまで書いてみて、「株主の把握から先に進まない」「10年の数字の置き方が分からない」と手が止まったら、そこは一人で悩まなくて構いません。当社は融資・資金調達の支援サービスのなかで、承継資金の組み立てと計画づくりを一緒に行っています。初回無料相談で現在地を整理するところからでも大丈夫です。
金融機関は、事業承継計画のどこを見ているのか?
ここからは、審査する側にいた立場から書きます。
日本政策金融公庫には「事業承継・集約・活性化支援資金」という融資制度があり、その対象者の1つが「中期的な事業承継を計画し、現経営者が後継者(候補者を含みます。)と共に事業承継計画を策定している方」です(国民生活事業。融資後おおむね10年以内に事業承継を実施することが見込まれる方、という注記がついています)。ここで大事なのは2点。後継者は「候補者」でもよいこと、そして10年という時間軸が制度側にも織り込まれていることです。まだ後継者が確定していないから計画は作れない、ということはありません。
公庫の様式は6つの欄でできています。項番1〜3は事業者が書き、項番4〜6は認定経営革新等支援機関または事業承継・引継ぎ支援センターが記入する欄です(支援機関の支援を受けずに作る場合、4〜6の記載は不要とされています)。公庫が公表している記入例には、各欄に「どういう視点で書くか」が明記されています。
| 欄 | 公庫の記入例が求めている視点 |
| 1 事業承継の概要 | 現経営者・後継者(現経営者との関係)・承継時期 |
| 2 承継に向けた事業の方向性 | 事業をどう磨き上げるか、いまの経営課題をどう解決していくか |
| 2 株式・財産 | 現経営者や利害関係者が持つ株式・事業用資産をどう扱うか(相続・贈与・売却、自法人による買取り) |
| 2 後継者教育 | 社内外での経験蓄積、外部セミナー受講、資格取得など |
| 2 その他 | 専門家や支援施策の活用、上記以外の課題と取組み |
| 3 必要資金 | 資金使途を具体的に。あわせて公庫およびその他の金融機関からの調達予定 |
| 4〜6 | 支援機関等が実施した支援内容・本計画に関する評価および所見・連絡先 |
審査する側から見て、この様式でいちばん情報量があるのは3の「資金調達」欄です。公庫からいくら、他行からいくらと書く欄がある。つまり、この1枚で他の金融機関との関係が見えます。ここが空欄だったり、実態と違っていたりすると、担当者は必ず聞き返します。融資の審査は、返してもらえるかどうかを見る場です。補助金の審査のように政策的な意義や新規性を競う場ではありません。この2つは目的も基準もまったく違う別物ですが、共通点が1つだけあります。計画の数字に根拠があるかを問う目です。事業承継計画も同じで、10年の売上が根拠なく伸びていれば、そこから先の記述の信頼度が全体的に落ちます。
金利についても触れておきます。公庫の中小企業事業(直接貸付)では、この資金の対象者1に該当する方は8億円まで基準利率マイナス0.4%となり、さらに認定経営革新等支援機関などの支援を受けて事業承継計画を実施する場合(現経営者の年齢が55歳以上である場合に限る)は基準利率マイナス0.65%と公表されています。この上乗せの引下げは中小企業事業の制度であり、国民生活事業(別枠7,200万円)の利率区分は基準利率・特別利率A・特別利率Bの体系で、同じ形の上乗せは示されていません。どちらの窓口で借りるかで扱いが変わるので、支店で確認してください。いずれにせよ、支援機関と一緒に計画を作ること自体が制度上評価されている、という事実は知っておいて損がありません。認定経営革新等支援機関の役割と探し方は「認定経営革新等支援機関とは」で解説しています。
経営者保証を外すための書類としての事業承継計画
意外と知られていないのが、この使い道です。信用保証協会の事業承継特別保証は、経営者保証を不要とする保証制度で、経営者保証付きの既存借入を借り換えて保証を外すこともできます。山梨県信用保証協会が公表している内容では、対象者は「3年以内に事業承継を予定している法人」または「事業承継日から3年経過していない法人」で、利用要件は次の4つです。
- 資産超過であること
- 返済緩和中ではないこと
- EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること((借入金+社債−現預金)÷(営業利益+減価償却費))
- 法人と経営者の分離ができていること
そして必要書類の1つ目が、事業承継計画書です(2つ目が財務要件等確認書)。保証料率は0.45%〜1.90%で、専門家による確認を受けた場合は0.20%〜1.15%に軽減されるとされています。保証期間は10年以内、都道府県知事の認定は不要です。
言い換えると、事業承継計画書は「税制のための書類」でも「融資を頼むための書類」でもなく、経営者保証という重い荷物を下ろすための書類にもなるということです。しかも要件の4つは、すべて決算書と体制の話です。資産超過でない、あるいはEBITDA有利子負債倍率が10倍を超えているなら、まずそこを改善する期間を計画表に織り込む、という順番になります。経営者保証を外す条件そのものは「経営者保証を外すには」で詳しく書きました。
先ほどの表②のうち、税制ではないもう1本のルートがこれです。経営承継円滑化法には都道府県知事の認定を前提とする金融支援があり、認定申請書(様式第6・6の2・6の3)を都道府県に出します。認定を受けると、信用保証協会の通常枠とは別枠(普通保険+2億円、無担保保険+8,000万円、特別小口保険+2,000万円)が用意され、日本公庫等の融資も利用できます。中小企業庁の資料には、都道府県知事の認定とは別に、金融機関や信用保証協会による審査があると明記されています。認定は入口であって、融資の保証ではありません。
提出前に、この5点だけ確認してください
提出先が①〜④のどれであっても、共通して見られるところです。
- 承継時期が具体的な年月で入っているか(「近い将来」は書いていないのと同じです)
- 株主が全員洗い出されているか(相続が発生している株主、退職した役員の持株を含めて)
- 持株比率の合計が各年で100%になるか
- 売上・利益の推移に根拠があるか(何をするから増えるのかが本文と対応しているか)
- 金融機関への説明時期が計画に入っているか(伝える順番は、通常は主力行から)
この5つが埋まっていれば、様式が①でも③でも、中身は流用できます。逆に、提出先ごとに毎回ゼロから作り直しているとしたら、それは順番が逆になっているサインです。自社の計画を1本作り、提出先の様式に載せ替える——これが、いちばん手戻りの少ないやり方です。
よくある質問
後継者がまだ決まっていません。事業承継計画は作れますか?
作れます。日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金は、対象者の要件で後継者に「候補者を含みます」と明記しています。候補が複数いる段階でも、現状の整理と株式の所在の確認は先に進められますし、むしろそこを整理しないと候補の絞り込み自体ができません。ただし、事業承継税制の特例承継計画については後継者(特例後継者)を記載する必要があるため、税制を使う予定があるなら候補の確定を急ぐことになります。
事業承継計画を作るのに費用はかかりますか?
中小機構の記入様式や日本政策金融公庫の様式はいずれも無償で公開されており、書式の入手にお金はかかりません。都道府県ごとに設置されている事業承継・引継ぎ支援センターでも策定の支援を受けられます。有料で専門家に頼む場合の考え方としては、「計画を代筆してもらう」ことにではなく、株式の集約方法や税務・金融機関との調整といった判断が必要な部分に対価を払うと考えるのが実務的です。当社の支援内容と費用の考え方は料金ページに整理しています。
いったん出した事業承継計画は、後から変更できますか?
都道府県に提出する計画については、変更のための様式が用意されています。中小企業庁は特例承継計画の変更届(様式24)、個人事業承継計画の変更届(様式24の3)を公開しており、確認を受けた計画を変更する場合に使用するとしています。公庫や保証協会に提出した計画は、事情が変わった段階で担当者に伝えて差し替えるのが実務です。計画は動かないほうが不自然なので、変わったこと自体は問題になりません。黙って放置することのほうが、信頼を損ないます。
親族に継がせず、第三者に譲る場合も事業承継計画は必要ですか?
必要です。むしろM&Aによる譲渡のほうが、譲渡までに何を整えるか(株式の集約、決算の整理、属人的な業務の可視化)の計画が効きます。相手先を探す前に自社の状態を整えるほど、条件は良くなります。第三者への引継ぎの相談先は「事業承継・引継ぎ支援センターとは」、譲渡に使える補助金は「事業承継・M&A補助金とは」をご覧ください。
従業員や取引先には、いつ伝えればいいですか?
計画表に「関係者の理解」という欄があるとおり、伝える時期そのものが計画の一部です。実務では、幹部社員→主要取引先→全社員、という順で段階を踏むことが多いですが、正解は会社によって違います。判断の目安は「後継者が対外的な交渉の場に出ている実績があるか」です。先に事実を作ってから伝えるほうが、動揺は小さく済みます。
事業承継計画は、作ること自体が目的ではありません。株式が誰の手にあり、いつ動かし、その資金をどう用意するか——ここが決まると、融資も保証も税制も、道具として選べるようになります。当社は融資を審査する側にいた元銀行員として、また認定経営革新等支援機関として、計画の中身と金融機関への説明までを一緒に組み立てています。融資・資金調達の支援サービスをご覧のうえ、無料相談はこちら(お問い合わせフォーム)からお気軽にご連絡ください。これまでの支援実績は採択・支援実績で公開しています。
監修:池田哲郎。八十二銀行で法人融資の審査・経営改善支援に従事したのち、中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として山梨県で融資・補助金・経営計画の支援を行う。山梨県事業承継・引継ぎ支援センターでの支援経験を持つ。本記事の制度情報は、中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類」(2026年4月24日更新)、中小企業庁「個人版事業承継税制の前提となる認定」(2026年7月10日更新)、中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」および同「事業承継に必要な資金」(2024年6月改訂)、日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金(国民生活事業)」「同(中小企業事業)」および同「事業承継計画書(記入のポイント)」、独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業経営者のための事業承継対策」、山梨県信用保証協会「事業承継特別保証と経営承継借換関連保証」を、2026年8月30日に確認して作成しています。制度の内容は改定されることがあるため、実際の申請前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。