公開日:2026年7月12日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

創業融資の相談で、日本政策金融公庫の創業計画書を手に「この欄に何を書けばいいのか」と固まってしまう方は少なくありません。様式そのものはA4で2枚ほど。埋めようと思えば、その日のうちに全部のマスは埋まります。問題はそこではありません。マスを埋めた計画書が、そのまま融資の通る計画になっているとは限らないのです。

創業計画書とは、これから始める事業の動機・経歴・商品・資金・見通しを、日本政策金融公庫が定めた8つの項目にまとめる、創業融資の申込みに使う書類です。この記事で一貫してお伝えするのは、「様式を埋めること」と「審査に通る計画を作ること」は別問題だという一点です。私は金融機関で融資審査に携わり、創業の稟議を数多く見てきました。その経験から、各項目で審査する側が実際にどこを見ているのかを、想定例つきで具体的に開いていきます。

取り上げるのは、公庫の創業計画書の8項目(創業の動機/経営者の略歴等/取扱商品・サービス/取引先・取引関係/従業員/お借入の状況/必要な資金と調達方法/事業の見通し)です。記入例は、山梨県内で焼き菓子の製造販売を始める方を想定した例で通します(架空の想定例で、実在の事業者ではありません)。読み終えるころには、様式のどこに力を入れれば審査で効くのかが見えているはずです。


創業計画書とは?事業計画書と何が違うのか

創業計画書は、日本政策金融公庫が創業融資の申込者向けに用意している、決まった様式の書類です。8つの項目があらかじめ枠として並んでいて、そこに自分の事業を書き込んでいきます。一方、一般に「事業計画書」と呼ばれるものは、様式が決まっていない自由形式の資料を指すことが多く、事業の全体像・戦略・数値計画などをページ数の制約なくまとめたものです。

創業計画書事業計画書
様式公庫の決まった様式(8項目)自由形式(決まりなし)
主な用途創業融資の申込み融資・出資・補助金・社内共有など幅広い
分量A4で1〜2枚程度数ページ〜数十ページ
性格審査に必要な要点の申告事業構想を語る自由な資料

関係としては、創業計画書は、事業計画の中核を公庫の様式に落とし込んだものと考えると整理しやすいです。決まった枠に収める分、書ける量は限られます。だからこそ、限られたスペースに「審査で効くこと」を選んで書く必要があります。空欄を埋める作業ではなく、優先順位をつけて要点を置く作業だと捉えてください。1枚に収めきれない分は、後述するとおり資料を添付して補うことができます。なお本記事は融資を前提に進めます。融資は貸したお金が返ってくるか(返済可能性)を見る一方、補助金は政策的な意義を見るもので、審査の物差しがそもそも違うためです。

創業計画書の様式と記入例はどこで入手するのか

様式は、日本政策金融公庫の公式サイトから無料でダウンロードできます。手書き用のPDF版と、パソコンで入力できるExcel版の両方が用意されています。あわせて、業種別の記入例(記載例)のPDFも同じページに並んでいます。飲食・美容・小売・ソフトウェア開発・内装工事・学習塾・歯科・介護など複数の業種があり、自分の業種に近いものを1つ開いておくと、書きぶりの手本になります。

入手先はこちらです(2026年7月時点)。

制度面も先に触れておきます。かつての「新創業融資制度」は2024年3月末で取扱いが終了し、現在、創業者が主に使うのは「新規開業・スタートアップ支援資金」です。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)とされています。かつて旧制度にあった「自己資金は創業資金の10分の1以上」という要件は撤廃されましたが、実務では自己資金の厚みは依然としてよく見られます。制度の内容は改定されることがあるので、限度額や条件の最新の数値は必ず公庫の公式ページでご確認ください。創業融資そのものの進め方は「創業融資(日本政策金融公庫)の進め方」にまとめています。

創業計画書8項目の書き方と記入例(審査する側の視点つき)

ここからが本題です。8つの項目を順に見ていきます。各項目に、書き方のポイントと、審査する側がその欄でどこを見ているかを1つずつ添えました。記入例は、山梨県内で焼き菓子の製造販売を始める方を想定した例で統一します(架空の想定例です)。

① 創業の動機

なぜこの事業を始めるのか、その理由と準備状況を書く欄です。ここで大事なのは、動機と自分の経歴・準備がひとつの線でつながって見えることです。思いつきではなく、以前から準備を積んできたことが伝わると、計画全体の信頼度が上がります。

想定例:「洋菓子店に8年勤め、焼き菓子の製造と店舗運営を担当してきた。地元の観光需要と贈答需要に対し、日持ちのする焼き菓子を専門に扱う店が少ないと感じ、独立を決めた。開業に向けて2年前から製造機器の選定と物件探しを進めてきた。」

審査する側はここを見る:動機の熱量そのものより、動機・経歴・準備期間に一貫性があり、この人が続けられそうかを見ています。

② 経営者の略歴等

これまでの職歴・経験を書く欄です。単に勤務先と年数を並べるのではなく、その経験が今回の事業にどう直結するかが伝わるように書きます。ここで避けたいのが、「丁寧なものづくりに自信がある」といった主観的な言い回しです。自信は数字になりません。前職で何年、どんな役割を、どの規模で担ってきたのかを、年数・件数・役職といった客観的な事実で置き換えてください。「頑張ります」「自信があります」は、審査の場では説得力を持ちません。

想定例:「洋菓子店で8年勤務。うち後半3年は製造責任者として1日あたり約300個の焼き菓子製造と原価管理を担当。仕入交渉・売場づくりも経験。」

審査する側はここを見る:略歴と事業内容が地続きか、つまりその経験で、この事業を回せる裏づけがあるか。読まれているのはその一点です。

③ 取扱商品・サービス

何を、いくらで、なぜ売れるのかを書く欄です。商品名を並べるだけでなく、価格帯とセールスポイント(選ばれる理由)まで書き込みます。競合とどう違うのかを一言添えられると、審査する側が事業のイメージを持ちやすくなります。

想定例:「主力は焼き菓子の詰め合わせ(1箱1,500〜3,000円)。日持ち2週間で贈答に向く。地元産の果実を使った限定商品を軸に、観光土産と贈答の需要を狙う。近隣に焼き菓子専門店は少なく、価格帯も競合しにくい。」

審査する側はここを見る:その価格で本当に売れる理由があるか、そして原価と売価の関係が成り立つかを見ています。

④ 取引先・取引関係

販売先・仕入先・外注先と、その取引条件を書く欄です。ここで見落とされがちなのが回収条件です。店頭でその場で現金を受け取るのか、卸売で翌月末に入金されるのか(掛け取引)で、手元の現金の回り方はまるで変わります。掛けの割合が高いと、売上が立っても入金は先になり、その間の運転資金が必要になります。仕入の支払条件とあわせて、正直に書いてください。

想定例:「販売先:店頭販売(現金)7割、地域スーパー・道の駅への卸(掛け・翌月末入金)3割。仕入先:地元製粉業者・青果店(掛け・翌月末支払)。」

審査する側はここを見る:売上の入金と仕入の支払のタイミングを突き合わせ、資金がショートしない回り方になっているかを見ています。

⑤ 従業員

雇用する従業員の人数を書く欄です。ここで、個人事業の場合に必ず押さえておきたい点があります。公庫の様式では、事業主本人は従業員の人数に含めません。人件費も、この後の見通しでは従業員(パート・社員)の分を指し、事業主本人の給料は含めない作りです。事業主の取り分は、後述する利益の中から生活費として賄う構造になります。ここを取り違えると、人件費の金額が実態と合わなくなります。

想定例:「開業時はパート2名(製造補助・販売)。事業主本人は製造と経営を兼務。」

審査する側はここを見る:売上規模に対して人件費の想定が過大でも過少でもないか、無理のない体制かどうかに目が行きます。

⑥ お借入の状況

事業主本人の既存の借入(住宅ローン・自動車ローン・カードローンなど)を書く欄です。ここは、隠さず正直に書くことが何より大事です。個人の信用情報は照会されるので、書かなかった借入は結局わかります。むしろ、既存の返済がある前提で「それでも今回の返済は回る」と示せるほうが、信頼につながります。

想定例:「住宅ローン 残高○○円(毎月○○円返済)/自動車ローン 残高○○円。いずれも延滞なし。」

審査する側はここを見る:既存の返済を含めて家計と事業が返済に耐えられるか、そして申告に正直さがあるかを見ています。

⑦ 必要な資金と調達方法

いくら必要で(左側:設備資金・運転資金)、それをどう用意するか(右側:自己資金・借入)を書く、いわば創業計画書の家計簿にあたる欄です。ルールはひとつ、左側の合計と右側の合計が一致すること。使い道の総額と、資金の出どころの総額は、必ず同じ金額になります。設備資金は見積書の裏づけを、運転資金は「何ヶ月分か」の考え方を持っておいてください。

想定例:「【必要な資金】設備資金:製造機器・厨房設備 500万円/内装 300万円。運転資金:仕入・家賃など 200万円。合計1,000万円。【調達方法】自己資金 300万円/日本政策金融公庫からの借入 700万円。合計1,000万円。」

審査する側はここを見る:使途が具体的で見積りと合っているか、そして自己資金の比率が薄すぎないかを確かめます。自己資金は、それまでコツコツ準備してきたかを映す鏡と受け取られます。

⑧ 事業の見通し

創業当初と軌道に乗った後の、売上・原価・経費・利益の見込みを書く欄です。8項目の中で、審査する側がもっとも時間をかけて読むのがここです。ポイントは、売上を金額でいきなり置かないこと。「販売数量 × 単価」に分解して、数量の側に根拠を持たせることです。この欄の作り込みが計画全体の背骨になるので、次の章で独立して詳しく扱います。

想定例:「創業当初:月商○○円(1箱平均1,800円 × 月○○箱)。軌道に乗った後:月商○○円。原価率○%、人件費・家賃・その他を差し引いた利益で借入を返済。」

審査する側はここを見る:売上に数量の根拠があるか、そしてその利益で借入をきちんと返していけるかを見ています。ここが計画の合否を分ける中心です。

いちばん差がつくのは数字欄——「必要な資金」と「事業の見通し」の根拠づくり

8項目を一通り埋めても、審査で差がつくのは決まって数字欄です。「必要な資金と調達方法」と「事業の見通し」、この2つの欄をどれだけ根拠で固められるかが勝負どころになります。逆に言えば、動機や商品の説明がうまくても、数字が宙に浮いていれば計画は通りにくい。ここに一番の力を注いでください。

売上は「数量×単価」で立て、月次で考える

月商150万円と書くだけでは、審査する側は根拠を確かめようがありません。同じ150万円でも、「1箱平均1,800円 × 月833箱」と分解し、その833箱を「店頭で1日20箱 × 25日=500箱、卸で月333箱」まで割れば、数量の一つひとつに理由が生まれます。売れる根拠は数量の側に宿ります。金額だけの計画は、根拠を問われた瞬間に崩れると考えてください。

もうひとつ大切なのが、年間ではなく月次で考えることです。創業直後は認知が広がるまで売上が積み上がらず、現金が最も細るのはたいてい開業から数ヶ月の間です。年間の数字を12で割った平均値では、この谷が見えません。初月から満席・満注文で黒字という計画が信用されないのも同じ理由です。むしろ立ち上がりは厳しめに置き、「それでも返済は回ります」と言えるほうが、審査する側には安心材料になります。

様式の1枚の裏に、この3点セットを持っておく

創業計画書の「事業の見通し」欄は、書けるスペースが限られています。そこで私がおすすめしているのは、様式のこの1枚の裏に、詳細版の3点セットを用意しておくことです。様式には要約を書き、面談で根拠を問われたら詳細版を開いて示す。この二段構えにすると、説明が一気に厚くなります。3点セットとは次のものです。

  • 収支計画書(利益の計画)… 毎月いくら利益が残り、その利益で返済が回るかを月ごとに示す。書き方とエクセルテンプレートは「収支計画書の書き方」にまとめています。
  • 資金繰り表(現金の計画)… 掛け取引や納税で現金がいつ細るかを追う。利益が出ていても現金が尽きれば事業は止まるため、収支計画書と対で用意します。作り方は「資金繰り表の作り方」で解説しています。
  • 財務モデル(前提を変えると全体が動く仕組み)… 単価や販売数を変えると利益と現金が一斉に動く形にしておくと、「もし初月が想定の8割なら」を面談前に試せます。「財務モデルの作り方」で詳しく扱っています。

様式の数字が「どこから出た数字か」を、この3点セットで即座に示せる。それだけで、面談での説明の説得力はまったく変わります。

ここで一つ、誤解を解いておきたいことがあります。公庫の様式はA4で1〜2枚ですが、この1枚だけで事業のすべてを説明しなければならない、という決まりはありません。財務の計画(月次の収支計画書や資金繰り表)や、事業の概要をまとめた資料を、申込時に添付しても問題ありません。むしろ審査する側にいた実感として、様式に根拠資料が添えられた申込みは、数字の出どころを確かめる手間が減り、検討を進めやすいものでした。1枚に無理に詰め込んで文字を小さくするくらいなら、様式には要点、詳細は添付資料、と役割を分けるほうが読み手に親切です。ただし、様式の記載と添付資料の数字は必ず突き合わせてください。食い違いは、それだけで信頼を損ないます。

数字づくりに本気で向き合いたい方は、あわせて財務・資金繰りの支援もご覧ください。

元銀行員が見てきた「通らない創業計画書」の典型

審査する側にいた立場から、通りにくい創業計画書には共通する型があると感じてきました。ここでは代表的な3つを挙げます。いずれも、書き方を少し変えるだけで印象が変わるものです。

典型① 利益率が高すぎて、かえって疑われる計画

広告宣伝費をほとんど計上せず、営業利益率が同業の相場より大きく高く出ている計画は、審査する側から「見立てが甘いのでは」と警戒されます。実際、自分の足での営業やSNSの自社運用だけを前提にすると、利益率が4割を超えるような数字になることがあります。数字自体が高いことが問題なのではありません。なぜ広告費をかけずに集客できるのか、その根拠が示されていないことが問題なのです。相談の現場でも、利益率が高く出ている計画では「この集客はなぜ費用ゼロで成り立つのか」を必ず補足するようお伝えしてきました。加えて、最悪ケースでも赤字にならないラインを別に添えておくと、強気の数字にも足場ができます。

典型② 強みが「主観」で書かれている計画

「丁寧な接客に自信がある」「地域に密着したサービスを提供したい」。創業計画書の強みの欄で、こうした主観的で抽象的な言葉が並ぶケースは非常に多いです。気持ちは伝わっても、審査の説得力にはつながりません。ここは客観的な事実に置き換えます。「丁寧な接客に自信がある」なら「前職で○年、年間○件の顧客対応を担当」へ。「成長市場だ」なら「市場規模○億円、前年比○%成長(出典:○○白書)」へ。前職の経験は年数・件数・役職で、市場は公的統計で、競合は実店舗数や価格帯で裏づける。この置き換えだけで、同じ強みが数段説得力を増します。

典型③ 事業主の生活費を削って黒字に見せている計画

3つ目は、事業主本人の取り分(生活費)を極端に低く見積もって、無理やり黒字に着地させている計画です。前述のとおり、個人事業では様式上の「利益」から事業主が生活費を取り出します。その生活費を非現実的なほど切り詰めれば、計画は黒字に見えます。しかし審査する側は、そこに違和感を覚えます。「これで生活が成り立たない=事業として続かない」と読まれてしまうのです。生活費はまず、地域の最低賃金ベースで「最低これくらいは手元に残す必要がある」という水準を置き、利益が生活費と返済額の両方を賄えるか(利益 ≧ 生活費 + 返済)を確かめてください。この不等式が成り立って初めて、個人事業の計画は出発点に立ちます。

AIに創業計画書の下書きを手伝わせる方法

生成AIは、創業計画書のたたき台づくりと下書きの整えが得意です。ただし、境界線を先に引いておきます。AIは下書きと検算まで。前提を決めることと、その数字を自分の言葉で説明する責任は、人が持つ。この線さえ守れば、白紙から書き始めるより格段に速く進みます。投げ方には2つの型があります。

指示型:条件を自分で示して骨格を出させる

置くべき項目の見当がついている人向けの型です。業種と規模を伝えて、8項目の骨格や書くべき論点を一覧で出させます。

プロンプト例:「山梨県で焼き菓子の製造販売を創業します。日本政策金融公庫の創業計画書の8項目(創業の動機/経営者の略歴等/取扱商品・サービス/取引先・取引関係/従業員/お借入の状況/必要な資金と調達方法/事業の見通し)について、それぞれの項目で審査担当者に伝わるよう書くべき論点を箇条書きで整理してください。売上は『数量×単価』で立てられる形にし、数字はまだ入れず論点だけで結構です。」

対話型:AIに1項目ずつ質問させて埋めていく

何から手をつけるか迷う人向けの型です。AIに質問役を任せ、こちらが答えるとその内容が計画に反映されていきます。

プロンプト例:「日本政策金融公庫の創業計画書を作ります。8項目について、必要なことをあなたから私に1つずつ質問してください。私が答えてから次の質問に進んでください。売上は『数量×単価』、原価は原価率で立てる形にし、答えが曖昧なときは考え方の目安を添えて聞き直してください。ひととおり答え終わったら、各項目の下書き文をまとめてください。」

対話型のいいところは、質問に答えていく過程で「なぜこの数量なのか」「なぜこの価格なのか」を自分の言葉で言語化できる点です。この問答の記録は、そのまま融資面談の想定問答として使えます。ただし、AIが出してくる客数の相場やコスト比率は一般論にすぎません。骨格だけ借りて、数字は必ず自分の事業の実態に差し替えてください。面談で数字の根拠を自分の言葉で語れない計画は、どれだけ体裁が整っていても逆効果になります。

山梨県で創業する場合の相談先

創業計画書は、一人で完成させなければならない書類ではありません。書き上げる前に、事業に詳しい人の目を一度通しておくと、審査する側の視点で足りない点に気づけます。

公的な相談の入口としては、地域の商工会議所・商工会の創業支援窓口があります。創業計画づくりの相談や、公庫との橋渡しに対応してくれることが多いです。どちらが自分の地域の窓口になるかは市町村によって分かれるため、お住まいや開業予定地の市町村の窓口へ、まずは問い合わせてみてください。地域の金融機関に、創業支援に積極的なところがあることもあります。

私自身は、元銀行員・中小企業診断士として、「審査する側の目」で創業計画書を一緒に点検する立場からご支援しています。「様式は埋めたが、これで公庫に出していいのか自信がない」「数字の根拠をどう固めればいいか分からない」という段階で構いません。初回無料の経営相談から、お気軽にご連絡ください。あわせて「創業融資の審査に落ちる理由と対策」も、提出前の点検にお使いいただけます。


執筆:池田哲郎。八十二銀行で法人融資の審査・経営改善支援に従事し、事業計画や創業計画を「審査する側」として見てきた経験を持つ。現在は中小企業診断士・認定経営革新等支援機関として、山梨県で財務・資金繰り・融資の支援を行う。本記事の記入例はすべて架空の想定例で、数値・固有名は説明のための仮のものです。また制度・様式は2026年7月時点の公表内容に基づきます。融資限度額・返済条件・様式は改定される場合があるため、利用前に必ず日本政策金融公庫の公式情報をご確認ください。

創業計画書の書き方でよくある質問

創業計画書に運転資金は何ヶ月分を書けばいいですか?

業種によりますが、仕入から入金までの期間や、赤字が続く立ち上がり期の長さから逆算して置くのが基本です。目安として、掛け取引が中心で入金が遅い業種や、認知が広がるまで時間のかかる業種ほど厚めに見ます。金額を先に決めるのではなく、「毎月出ていく固定費 × 黒字化までに要する月数」といった形で、必要月数から積み上げると根拠を説明しやすくなります。厚すぎる運転資金は使途を問われ、薄すぎると立ち上がりで現金が尽きるので、資金繰り表で現金が最も細る月を確かめてから金額を決めてください。

個人事業主の場合、自分の人件費は創業計画書に書きますか?

公庫の創業計画書では、事業主本人の給料は人件費に含めません。人件費の欄に入れるのは、雇用する従業員やパートの分だけです。事業主自身の取り分は、事業の見通しで算出した「利益」の中から生活費として賄う構造になっています。したがって、書く欄があるというより、利益の使い道として押さえておく性質のものです。審査では、その利益が生活費と借入返済の両方を賄えるかが見られるため、生活費の水準は現実的に置いてください。

創業計画書に書ききれない場合は別紙にしてもいいですか?

問題ありません。むしろ、様式の限られたスペースに要点を書き、詳しい根拠は別紙で補うのは、実務でよく行う方法です。とくに事業の見通しの数字は、様式には要約を書き、月次の収支計画書や資金繰り表を別紙として添えると、面談で根拠を示しやすくなります。別紙をつけるときは、様式の記載と別紙の数字が食い違わないよう、両者を必ず突き合わせてください。矛盾があると、かえって不信につながります。

創業計画書は手書きとエクセルのどちらがよいですか?

どちらでも審査上の有利・不利はありません。公庫は手書き用のPDF版と入力用のExcel版の両方を配布しており、好きな方を選べます。修正のしやすさや、数字を自動計算させたい場合はExcelが便利です。字の丁寧さで熱意を伝えたいという考え方もありますが、審査で見られるのは体裁より中身です。手段にこだわるより、8項目の内容と数字の根拠を固めることに時間を使ってください。

創業計画書は誰に相談すればよいですか?

公的な入口としては、地域の商工会議所・商工会の創業支援窓口があります。創業計画づくりの相談や公庫との橋渡しに対応してくれることが多いです。より踏み込んで「審査で通る計画にしたい」という段階では、中小企業診断士や認定経営革新等支援機関など、融資審査の視点を持つ専門家に一度見てもらうと、足りない点に早く気づけます。いずれにしても、提出前に第三者の目を一度通しておくことをおすすめします。