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先端設備等導入計画とは|固定資産税の特例・対象設備と申請の流れ【2026年・山梨】

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池田計画合同会社

公開日:2026年8月12日 執筆:池田哲郎(中小企業診断士・認定経営革新等支援機関/池田計画合同会社 代表)

先端設備等導入計画とは、中小企業が設備投資で労働生産性を上げる計画を市町村に認定してもらい、その設備の固定資産税を軽くしてもらう制度です。国ではなく市町村が認定する点、そして設備を買う前に認定を受けなければ一切使えない点が、他の制度と決定的に違います。

この制度は、名前が似ている「経営力向上計画」と混同されやすく、私も面談でよく質問を受けます。さらに2025年(令和7年)4月から軽減の中身が変わり、賃上げの方針を表明しないと特例そのものが使えなくなりました。インターネット上には改正前のルールのまま残っているページが少なくないので、この記事では公的な一次情報で確認できたことだけを書きます。

先端設備等導入計画とは何か、どの法律の制度か

根拠は中小企業等経営強化法です。中小企業者が「先端設備等導入計画」を作り、事業所のある市町村に申請して認定を受けると、その計画に基づいて取得した設備の固定資産税(償却資産)について、課税標準を軽減する特例と、中小企業信用保険法の特例(信用保証の別枠等)などの金融支援を受けられます。

ここで押さえておきたいのが、市町村の側にも計画があるという二階建ての構造です。市町村は先に「導入促進基本計画」を作り、国の同意を得ておく必要があります。事業者が出す「先端設備等導入計画」は、その市町村の計画に沿っているかどうかで判断される。つまり、市町村が動いていない地域では、事業者がどれだけ良い設備投資をしても、この制度は使えません。

「先端設備」という言葉から最新鋭のロボットのようなものを想像される方が多いのですが、実際はそうではありません。労働生産性の向上に資する設備であれば、汎用的な機械でも対象になり得ます。制度名の印象で自社は関係ないと判断してしまうのは、もったいない部分です。

そもそも自分の市町村で使えるのか、どこで確認するか

最初に確認すべきはここです。全国どこでも同じように使える制度ではありません。

中小企業庁は「先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じている市区町村」の一覧を公表しており、2026年5月8日に令和7年12月31日現在の版が掲載されています。まずはこの一覧と、自社の事業所がある市町村のホームページの両方を見てください。

山梨県内について、私が各市の公式ページで実際に確認できたものを挙げておきます(2026年8月12日時点)。

市町村固定資産税の軽減措置確認した公式ページの記載
甲府市あり導入促進基本計画を策定し認定を実施。労働生産性の目標は年率3%以上、対象地域は市内全域、対象業種は全業種
山梨市あり認定申請を受付。「必ず設備等の導入前に認定申請をお願いします」と明記
北杜市あり令和7年4月1日〜令和9年3月31日に取得した設備が対象と明記

この3市以外が対象外だという意味ではありません。私が公式ページで直接確認できた範囲がここまで、というだけです。県内の他の市町村については、必ずご自身の市町村の商工担当課に直接ご確認ください。

確認するときに一つ注意点があります。市町村のページの中には、この制度の前身にあたる生産性向上特別措置法の時代に作られたページが、そのまま残っているものがあります。軽減率も適用期限も当時とは違うので、ページの根拠法が「中小企業等経営強化法」になっているかを先に見てください。古いページを読んで計画を立てると、前提から狂います。

固定資産税はどれだけ軽くなるのか

2025年(令和7年)4月1日以降に取得する設備については、賃上げ方針の表明とセットになりました。甲府市・山梨市・北杜市のいずれの公式ページでも、内容は一致しています。

従業員に表明する賃上げの方針軽減の内容
雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる課税標準を3年間 1/2に軽減
雇用者給与等支給額を3%以上増加させる課税標準を5年間 1/4に軽減
賃上げ方針の表明なし固定資産税の特例措置なし

ここが改正前と一番変わった点です。以前は表明がなくても軽減が受けられましたが、現在は賃上げ方針を表明しなければ、固定資産税の特例そのものが使えません。表明は口頭で済ませるものではなく、従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面を提出します。様式は中小企業庁が用意しています。

対象となる期間は、令和7年4月1日から令和9年3月31日までに取得した設備です(甲府市・北杜市の公式ページで確認)。設備を入れるかどうか迷っている段階の方は、この期限から逆算して考えることになります。

どんな設備が対象になるのか

設備の種類ごとに取得価額の下限が決まっています。金額に届かない設備は、どれだけ生産性向上に効いても対象外です。

設備の種類取得価額(1台あたり)
機械装置160万円以上
測定工具及び検査工具30万円以上
器具備品30万円以上
建物附属設備60万円以上(家屋と一体で課税されるものは対象外)

建物附属設備の但し書きは見落としやすいところです。固定資産税の特例は償却資産に対するものなので、家屋と一体で課税されるものには効きません。

計画そのものの要件としては、基準年度比で労働生産性が年平均3%以上向上することが求められます。加えて固定資産税の特例を受ける場合は、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画であることについて、認定経営革新等支援機関の確認が必要です。

経営力向上計画・中小企業経営強化税制とどう違うのか

この質問が一番多い。名前も目的も似ているので無理もありません。私はいつも「何の税金を軽くしたいのか」で切り分けてくださいとお話ししています。

先端設備等導入計画経営力向上計画
認定するのは市町村国(事業分野別の主務大臣)
軽くなる税金固定資産税(償却資産)法人税・所得税(即時償却または税額控除)
設備を先に買った場合認定されない取得日から60日以内の申請という例外ルートがある
認定支援機関事前確認書・投資計画の確認が必要制度上は必須ではない

両方を使いたい場合は、それぞれ別に申請します。法人税を軽くしたいなら経営力向上計画中小企業経営強化税制、固定資産税を軽くしたいなら先端設備等導入計画。どちらも設備投資の計画なので混ざりやすいのですが、出す先が市町村なのか国なのかで、必要な書類も期間もまったく変わります。

なぜ「設備を買う前」でなければならないのか

この制度で一番事故が起きるのがここです。

山梨市の公式ページには「必ず設備等の導入前に認定申請をお願いします。既に取得した設備等を対象とする計画は認定されません」と書かれています。北杜市も、設備の取得は市町村が認定した後になると明記しています。経営力向上計画のように、買ってしまった設備を60日以内の申請で救う仕組みは、この制度にはありません。順番を間違えたら、その設備については終わりです。

ここで効いてくるのが時間の逆算です。山梨市は認定に2週間程度を要すると案内しています。そして認定申請の前に、認定経営革新等支援機関の事前確認書と、投資計画に関する確認を受けておく必要があります。支援機関に依頼してから確認書が出るまでの時間、市町村の審査に2週間。この合計を、発注日より前に置かなければなりません。

補助金に慣れている方ほど、ここで足をすくわれます。補助金には事前着手届のように、交付決定前の発注を認めてもらう仕組みがある制度があります。納期の長い設備を先に押さえたい場面では、私も実際にその手を使います。ところが固定資産税の特例には、そういう救済がない。「納期が長いから先に発注しておこう」という、補助金では正しい判断が、この制度では致命傷になります。設備の納期が読めない案件ほど、認定を先に取り切っておく設計が要ります。

申請の流れと必要書類

順番は次のとおりです。

  1. 自社の市町村が導入促進基本計画を策定しているかを確認する
  2. 先端設備等導入計画を作成する(労働生産性 年平均3%以上向上)
  3. 認定経営革新等支援機関の事前確認を受ける。固定資産税の特例を使う場合は投資利益率5%以上についての確認も受ける
  4. 従業員に賃上げ方針を表明し、それを証する書面を用意する
  5. 市町村へ認定申請する
  6. 認定を受けた後に設備を取得する

山梨市が公表している提出書類は、認定申請書、事前確認書、投資計画に関する確認書、市税に滞納がないことの証明書、反社会的勢力排除に関する誓約書、設備等の概要がわかるもの、従業員への賃上げ方針表明書面、ファイナンスリースの場合はリース契約見積書等でした。市町村によって細かい違いがあるので、申請先の一覧で最終確認してください。

認定経営革新等支援機関の役割については、認定経営革新等支援機関とはで整理しています。この制度では確認書が必須なので、支援機関に心当たりがない場合は、探すところから逆算に入れておいてください。

使うべきか、見送るべきか

ここからは制度の説明ではなく、私の判断です。

設備投資の相談を受けるとき、私が最初に確認するのは税金の話ではありません。その設備で作ったものが売れる目処があるかどうかです。以前、新しい製造ラインを検討されていた事業者さんと、着手の条件を「自社で一定量を売り切れる見通しが立つこと」に決めたことがあります。作れるかではなく、売れるか。設備は固定費ですから、需要が読めないうちに能力だけ持つと、稼働しないまま資金を寝かせることになります。足りなければ足す方が、作り込んでから外すより痛みが小さい。

固定資産税の軽減は、あくまで投資判断の後に効いてくるものです。3年間2分の1という数字は確かに魅力的ですが、それは設備を入れると決めた人にとっての話であって、入れるかどうかを決める材料にはなりません。軽減額に引っ張られて設備を大きくすると、順番が逆になります。

逆に、設備投資をすることは決まっていて、賃上げも考えていて、市町村が対象になっている。この3つが揃っているなら、使わない理由はほとんどありません。手続きは正直に言って面倒です。支援機関の確認書、賃上げ方針の書面、市税の証明書と、揃えるものは多い。それでも、面倒な順番を守るかどうかで税額が変わってしまう。しかも買ってからでは取り返しがつかない。だからこそ、設備の話が具体化する前の、まだ何も決まっていない段階でご相談いただくのが一番効きます。


池田計画合同会社は、山梨県を拠点とする認定経営革新等支援機関です。代表の池田は、金融機関で法人融資の審査に長く携わったのち、中小企業診断士として独立しました。先端設備等導入計画に必要な事前確認書・投資計画の確認、経営力向上計画や補助金との使い分け、発注日から逆算したスケジュールの設計まで、審査する側にいた視点でご支援しています。「うちの市町村は対象なのか」「この設備は金額の条件を満たすのか」という段階でも構いません。AI補助金診断・補助金支援サービス山梨県の中小企業が使える補助金一覧をご覧いただくか、初回無料の経営相談からお気軽にご連絡ください。


よくある質問

市税に滞納があると申請できないのですか?

山梨市が公表している提出書類には「市税に滞納がないことの証明書」が含まれています。証明書の提出を求める以上、滞納がある状態では認定を受けられないと考えてください。分納の相談中など個別の事情がある場合の扱いは市町村の判断になるため、申請前に商工担当課へ確認することをおすすめします。なお、この証明書は発行までに日数がかかることがあるので、逆算のスケジュールに入れておいてください。

市町村の導入促進基本計画に期限はありますか。切れたらどうなりますか?

あります。甲府市の公式ページでは、導入促進基本計画の計画期間は国が同意した日から2年間とされています(事業者が出す先端設備等導入計画の計画期間は3年・4年・5年のいずれか)。市町村の計画が更新されているかどうかで受付状況が変わり得るため、前に調べたときに対象だったからと決め打ちせず、申請の直前にもう一度確認してください。

認定を受けたあとに設備を変更・追加したくなった場合はどうしますか?

中小企業庁は「先端設備等導入計画の変更に係る認定申請書」の様式を用意しており、変更認定の手続きが想定されています。ただし変更であっても、追加する設備を取得する前に変更認定を受ける必要があるという原則は変わりません。設備を足してから届け出れば済む制度ではない、と考えてください。

リースで導入する場合も固定資産税の特例は使えますか?

ファイナンスリースについては、リース会社が固定資産税の納税義務者になる場合の取り扱いが定められており、山梨市の提出書類にもリース契約見積書等が挙げられています。ただし所有権移転外か否かなど契約の形態によって扱いが変わるため、リース会社と申請先の市町村の両方に、契約内容を示して事前に確認してください。

賃上げ方針の表明は、誰に対してどうやって行うのですか?

従業員に対して表明し、それを証する書面を申請時に提出します。中小企業庁が「従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面」の様式と記載例を公表しているので、それに沿って作成してください。社内の掲示や朝礼で伝えただけで書面を残していないと証明できないため、表明の事実を書面化する段取りまで含めて準備しておく必要があります。

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